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翌朝、あまり天気は優れない。
走り込みが終わり、三人で一緒にアイスキャッスルの中に入ろうとした時に勇利が改まって話をする。
「あの曲、作り直してもらえそうです」
あの曲とはフリー用の曲のことだろう。
「わー！楽しみだね」
「うん。楽しみにしてるよ」
二人して楽しみだという感想を述べる私たちに彼は続ける。
「だから、その曲が出来るまで……それまで、ヴィクトルが飛べるジャンプ全部教えてください！」
やる気の勇利に私はニッコリだ。実際教えるのは私じゃないんだけど。
「ヤル気だね。勇利、ヴィクトルも頑張ってね」
そんなヤル気充分の彼に押される様にヴィクトルにもヤル気が見えた。
今日はひたすらヴィクトルと勇利が氷上から足を離して飛んでいる……
ジャンプを教え始めた最初はリンク縁の塀を飛び越えそうな程高いジャンプを見せていたヴィクトルのジャンプも若干、高さが下がって来ている様に思える。
「もう一回お願いします」
そういう勇利に私は声をかける。
「うーん、勇利そろそろ休憩した方が良いんじゃない？」
あまり詰め込み、やり過ぎるのも良くないと休憩を促す。
「前から思ってたけどユーリはスタミナあるよね。試合で緊張してもお腹空くって言ってたもんな……」
ブレードの隙間に入り込んだ氷をヴィクトルは頭を下げて靴を確認しながら手で叩きつつ話している。
「体力あるのは良いとこだよ？ けど、休憩は大事。いくら体力あるからって天井なしに練習するのはダメ……って、勇利聞いてる？」
スポーツ経験がある私から少し忠告させてもらったが、勇利は話を聞いてないらしく凹む。
すると、下を向いていたヴィクトルのつむじを人差し指で勇利が押した。
え？何それ。と思ってしまい私はついつい黙ってしまった。
リンクが静寂に包まれる。
「そんなに危険か……」
ヴィクトルの一言で時が動き始めたような雰囲気だ。
「え、いやノーノーノーノー！！」
「俺はもうダメだー」
「ええー！？そんなこと言わないで！！」
リンクにへにゃりと倒れこむヴィクトルに土下座をする勇利、この前、遅刻した時にしていた土下座とは意味が違う。
ほんと、仲良くなって良かったと私は安心の笑いをして二人の漫才を見ていた。
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作者名：かなぁ | 作成日時：2016年11月25日 14時
