【ユーリ!!!】野球女と銀盤の王子2 (ページ7)

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早朝、今日も私はヴィクトルと一緒にアイスキャッスルに来てる。

　勇利はまだ来ていない。

　刻々と流れる時間、私はリンク縁の壁に頬杖をついて待っている。

　すると、リンクの中心にいたヴィクトルがこちらへ滑ってくる。

「ヴィクトル、どうしたの？」

「A、教えて欲しいんだ」

　首を傾げて質問は何かと聞く私にヴィクトルは続ける。

「コーチとして選手と向き合うのはどうすれば良い」

　それって自分がよく分かってるんじゃないの？

　でも返事はしてあげなきゃと思い、いろいろ考えていると彼は話を続ける。

「当然だけど勇利は俺とは違うから、何を言えば一緒にこれから歩いて行けると思う？」

　なんだ、最初からそう言ってくれたら良かったのに。

　わざわざ難しい言い方なんてするから、どう返事しようかと思ってしまった。

「…….勇利の事が分からないなら勇利に聞けば良いんじゃないの？コーチと選手の関係なんて人それぞれだと思う。」

　口周辺に指を当てて考えているヴィクトルに私は続ける。

「それこそコーチとしてどういう関係でいて欲しいかなんて勇利にそれこそ聞いてしまえばいい」

　コーチ一年生の彼だもんね、いっけん悩みなど無さそうに笑っているが考え込む事もあるよね。

「海にでも行って二人でキチンとそこらへん話し合ってきたら？」

　国籍も違えば立場も、体格も性格だって違う彼ら、キチンと話をしないと何も相手に伝わらない。

「うん、そうだね。ありがとうA」

　肩に手を置いてそこから手が上へ輪郭に沿うように滑って行き、頬を親指で撫でられると次は手が頭を撫でる。

　こそばゆい感覚に陥り、私の頭を撫でている彼の手を取って離して、早く勇利のところへ行って来てと促す。善は急げだ。

　出て行くヴィクトルの背中を私は見ている。

　彼らなら大丈夫だろうと思いベンチに座り、二人と出会わないように時間をずらして帰宅することにした。

　帰宅した後にマッカチンとお昼寝をしていたらスマホのメッセージ着信の音が鳴る。

　相手はヴィクトルだ。

「今からゆ～とぴあに帰るね」との内容と海を背景にした笑顔のヴィクトルと重く口が笑っている勇利の写真が付いて来ていた。

　私は「マッカチンと一緒に帰りを待ってます」とマッカチンと私の自撮り写真を送ってケイタイを閉じた。

「マッカチンー仲直りできたみたいだよ～」

　良かったねぇーとマッカチンに話しかけるとワンと一言返してくれた。