【ユーリ!!!】野球女と銀盤の王子2 (ページ6)

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ある日の練習中、以前曲を聴かせて貰って私とヴィクトルがボツにした曲、それ以外に何かないのかと判断をくすぶっている状態の勇利にヴィクトルは声をかける。

「まだ曲決めてないの？なんでそんなに自分の判断を信じられないんだ」

　私は質問や相談をされたら自分なりに助言はするつもりではいるが、スケートの曲や振り付けの内容までは詳しく言及できないので、彼らの話に耳を傾けて立っているだけだ。

「例えば思い出してみるんだ。恋人に愛されたこと」

「あぁ！？」

　ヴィクトルが全て話を仕切る前に勇利が啖呵を切ったので、私はキョトンとしてしまった。

　怖いとは思わないが普段は穏やかな勇利がと思って驚いていると、ふと普段通りに戻り彼なりの言い訳を慌ててする。

　それ以降の練習はヴィクトルは普段通りに見えるが、勇利が気を使うようにギクシャクとした練習時間となった。

「勇利ぃ！一緒に帰ろ」

　勇利との距離を詰めたいヴィクトルは普段は私を後ろに乗せて帰るが、彼を誘って帰宅を促すが何やら理由を付けて断られてしまった。

　後ろ姿が寂しく見えるヴィクトルと私は口数少なく帰宅した。

「勇利ぃ！一緒にお風呂入ろ」

　勇利と距離を詰めたいヴィクトルは頻繁に一緒にお風呂に入ってるというのに風呂に誘う。しかし、彼はもう先に風呂に入ってしまってた様で……

　風呂場に行く私に声をかける。

「A……一緒にお風呂入ろ」

「……は？」

「勇利ぃ！一緒に寝よう～！」

　勇利た距離を詰めたいヴィクトルは今度こそと彼に話を持ちかける。

　今日は勇利と3人で同じベッドかなー？なんて一足先にベッドに入っていた私は思うが、ボソボソと彼が断りを入れてバタンと彼の部屋の扉が閉まる音がした。

　寂しく襖を開けるヴィクトルに少し同情してしまってフォローしてあげようと声をかける。

「ヴィ、ヴィクトル……たぶんね、勇利も悪気があってああいう態度取ってるワケじゃないと思うんだ……」

　のそのそと同じベッドに入るヴィクトルは「分かってる」と一言だけいうと、就寝の挨拶をされてしまったのでこれ以上私は何も言わなかった。

　友人との関係は時間がゆっくり解決してくれるけど、選手とコーチの関係って話さないと分からない事が多いと思う。

　これからは彼らはどうするんだろう……

　あまり口出しして彼らの関係に踏み込むのも悪い気がするんだよねと思いつつ私も就寝のために瞼を閉じた。