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今日の試合を総括してヴィクトルが明日の試合に関して言及している。
「明日のフリーなんだけど、ジャンプの難易度下げて演技に集中すること」
そこは私が口出しする場面でもないのでヴィクトルの横に立って話を聞いている。
「シーズン序盤で難易度下げるのは悪いことじゃないだろ？グランプリファイナルにピークを合わせて調整するのが第一だよ」
まぁ間違ってはないかな。
そう思ってると勇利と目が合ったので私もそこに口を挟む。
「私もその方が良いと思うよ。最終的にどこで自分の最高を持って行くかだけど、確実に今すぐではー……ないかな？」
ありきたりな返ししかできないがヴィクトルの意見に賛同するしか他なかった。
「ほら、Aもそう言うってるし、明日は演技に集中すること」
いいね？と言いながらマッカチンにも似たティッシュケースを勇利に近付けて犬の鳴き真似をヴィクトルはしていた。
「じゃあ私はコーヒー飲みに出るわ」
勇利の今日の出番は終わったし落ち着いてコーヒーが飲める。
「あ、俺も行くよ。勇利は？」
「……行きます」
本当、ヴィクトルに着いてまわる姿がヒヨコの様だ。
三人で話しながら歩いて行ると見つけたと言わんばかりにアナウンサーがこちらへ来たので、私は横に逸り、カメラマンの後ろに行く。
そして、そのアナウンサーは勇利へフリーへの意気込みをインタビューする。
ヴィクトルに言われた演技に集中することが頭に引っかかっているのかたじろいでいる勇利にヴィクトルがすかさず話に出る。マイナス面を見せない様にする良いフォローだ。
などと言っていると滑走を終えた例の南くんがリンクから出て来た。
勇利を見つけると目を輝かせて、勇利に自分の演技を見てくれていたかと問う。
「取材受けてて見てない。ごめん」
そんな切り捨てる様に言わなくとも……
そんな勇利に南くんは今回の演技は勇利リスペクトだと告げる。衣装までも似せて来たというのだから本物のファンだ。
それに対して勇利は「僕の黒歴史衣装！」と発言する。謙虚なのは良いことだが、これは謙虚というよりディスリスペクトだ。
ファンでいてくれてる子にそれは良くない。
後で説教しようと思っていると南くんが声を出して怒る。
自分を蔑むことはファンを蔑むことと同じだ。そりゃ彼も怒るに決まっている。
そして最後はファンに宣戦布告される。なんて面白い状況なんだと私は腕を組みそれを聞いていた。
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作者名：かなぁ | 作成日時：2016年11月25日 14時
