【ユーリ!!!】野球女と銀盤の王子2 (ページ23)

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部屋を喚起しながら勇利の衣装にストーンをひとつひとつ貼り付けて行くとひとつひとつ時間がそして日が過ぎていった。

　ご飯を食べる時、入浴時以外はトルソーに着せた衣装とキラキラ輝く小さな、小さなストーンと向き合う日々が続いている。

「わお！部屋に入るたびに勇利の衣装が出来上がってきてるね」

　勇利との練習を終え部屋に入って来るヴィクトルは毎日嬉しそうに衣装を見てる。

「ヴィクトルおかえり！まぁね、この衣装ももう今日中には終わりそう」

　ヴィクトルが入ってきた事を区切りに一旦作業を中断する。

「綺麗に仕上がってるよ。本当、Aに依頼して良かった」

　デザインを任せた自分が誇らしいとは言わんばかりのセリフに少し笑えた。

「それはありがとう。完成したら早くこれ着て勇利の滑ってるところ見たいなぁ」

　勇利が活躍していることを想像すると、頬が緩む。

　すると頬に何かが刺さる感触がする。

「むぇっ、何ヴィクトル……」

　ヴィクトルの指が私の頬に刺さっている。

「何その可愛くない声。Aさー俺、今度、勇利の初戦の時に来て行く服がないんだよね」

「スーツ持って来てないの？」

　フィギュアスケートのコーチって試合の時にどのような服装しているのか分からない私は取り敢えず、公式の場ならスーツだろうと、それを口にする。

「あるにはあるけどリンク内寒いからコートも新調したいんだよね。勇利に内緒で」

　何故内緒にする必要があるのか。

「うん。」

　話の筋が見えた。一緒に買い物に行こうと言うさそいだ。

「どうせAも関係者席来るだろ？じゃあ一緒に買い物するよね？コートとか欲しくない？」

「待って、私も関係者なの？いや、関係者だけど」

　そうではなく私は観客席に座ってる想定ではないの？

「えーだってAも来なきゃ勇利さみしいだろ？」

　さみしいって勇利の事を何歳だと思ってるの。

　いや、でも衣装の調子とか初戦は見ておきたい気もあるし、今回は関係者としてリンクサイドで見てるのも良いか。

「そうだね！勇利さみしいとダメだもんね。じゃあ一緒に買い物行こうか！新しいコー欲しいし！」

　久々に買い物をしに行く予定ができて少し上機嫌だ。

「ふふ～ん。どんなコートにしようかなー？」

　私は楽しくなって、さっさと衣装を仕上げてしまおうと心に決めてストーン付けを再開した。