【ユーリ!!!】野球女と銀盤の王子2 (ページ21)

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帰りは行きの経路と逆を辿って私達は疲弊で口数少なく帰宅した。

　新幹線の中で駅弁を食べてお風呂もそこそこに私は自室にて、今日祖母から受け取った紙袋の中身を丁寧に出した。

　そこにはドレスだけでなく私の描いたドレスが描かれた紙も一緒に入っていた。

　その紙を拾って一瞬だけ見ると、過去の懐かしさとともに下手くそな絵に恥ずかしさを覚え紙袋に収納する。

「……この腰にあるリボンどうなっているんだろう」

　ヴィクトルの居ない部屋で独りドレスを見て大きなひとり言を言う私は、恥ずかしくて片付けたはずの過去のイラストを取り出し比較する。

「ああ、これ腰に巻かれた布とリボン、別々になってるのか」

　立体的な形をした大きなリボンのついた位置をクルクルと動かして見る。

「なーにしてるの？」

「わぁ！！」

　なんだ、ヴィクトルか。気配が全くなくて驚いてしまった。

「そのAが握り締めてるのって今日貰ったドレス？」

　私の手中にあるドレスを指差すヴィクトルにそうだと返事をしながら衣装をみせる。

「わぉ！かわいいね！でも、さすがにもうAは着れないね」

「だって、これ作って貰ったの五歳とかの時だもん」

　成人をした私は精神年齢が幼くても体型は大人だ。

「じゃあこれはAの子どもができたら着せてあげればいいね」

　興味津々にドレスの布を触って言うヴィクトルだ。

「それ触り心地いいでしよ？」

　サラサラとした布を指でずっと触っているヴィクトルに言うと、そうだね。と返事が返ってきた。

「この布、色違いだけど勇利の衣装にも使う予定なの」

　肌触りが良く見た目も煌びやかで軽い生地だ。

「それはいい案だ……ところで、その紙袋から出てる写真は昔のA？」

　写真？なんだと紙袋を見れば少し紙切れが覗いている。

　引っ張り出して見れば、幼少期の私がそのドレスを着て笑っている写真だった。

「どこかの国のプリンセスみたいだ」

　私の方へ顔を乗り出して言うヴィクトルは口をハートにして笑っている。

「うわぁー恥ずかしい！」

　私は立ち上がり机の1番上の引き出しに乱雑に片付けた。

「えーもうちょっと見せてよー」

　ドレスを触りながら不服そうにヴィクトルは言う。

「いや！」

　だって恥ずかしいのだもの。

　私はベッドへダイブする。

「その服、紙袋に入れておいてね！私はもう寝るから！」

　恥ずかしさを隠すように私はうつ伏せになり枕で顔を隠した。