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私の思い、伝わっただろうか？
頭を下げた私はチラリと勇利くんの方を目だけで見てみる。
「僕、自分の滑りでこれだけ人を揺さぶるんだって、こんなに感銘を受けてくれる人がいるんだって……改めてそれがありがたいって実感した……」
この返事は私の願いを聞き入れてくれるの？くれないの？
顔を上げてキチンと彼の口から答えが出るのを待つ。
「Aちゃん、僕のフリー用衣装是非作って下さい！」
頭を下げる勇利くんを見て私も思わず頭を下げる。
「こちらこそ！よろしくお願いします！！」
感激のあまり距離が近かったことも忘れ頭を下げてしまった私は勇利くんの頭上に額を落としてしまった！
「あ痛っ！」
「痛ぁ！」
その衝撃で顔を上げた私たちはお互いの顔を見合わせて、えへへと笑う。
「よろしくね、勇利」
私は彼に君付けをやめた。
彼に私は片手を差し出す。
「うん、よろしく。A」
差し出した手を握り返して握手する勇利は私のことをちゃん付けしなかった。
「……決まったぁ？」
先程まで日本語で会話してたので、放置されっぱなしのヴィクトルは近くにいたのに一切口出しをしなかった。
「ホント、日本語で会話するから何言ってるか分かんなかったけど、俺の期待している方向の返事でいいの？」
「いいと思うよ。とりあえず私は今日帰ったら祝杯のお酒を野球見ながら飲みたいなって思ってる」
笑って言えば安心した表情を見せるヴィクトル。
「よし、そうと決まれば休憩は終了。勇利、練習再開するよ！」
「二人とも頑張ってね」
私は練習に戻る彼らの背中を見つめていた。
なんとか私の思い伝わったようで良かった……
これから勇利がフリー用の曲を決めて、振り付けを決めて、そこから衣装作りの話をして……
スケジュールを考えると道のりは遠そうだ。
でも、すごい楽しみ。
彼の最高の演技に似合う最高の衣装が作れるか……燃えてくるね。
私はくつくつと練習している２人を見つめて笑った。
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作者名：かなぁ | 作成日時：2016年11月25日 14時
