【ユーリ!!!】野球女と銀盤の王子2 (ページ17)

今日:6 hit、昨日:5 hit、合計:74,673 hit

66 ページ17

「ヴィクトルお願いだから早くお弁当決めて！」

　もうすぐ出発する新幹線を前にヴィクトルは売店の前でご当地弁当をどれにするか決めあぐねている。

「勇利はどっちがいいー？」

「うーん、どっちも美味しそうだね」

　どれだけヴィクトルのする事なす事にハイとしか言わないんだ！この勇利は！

　そんなことやっていると本当に新幹線出発してしまう！

「すみません。これとこれ一つずつください」

　ヴィクトルが迷っている弁当を指差し、支払いは交通系ICで支払い簡単に済ませば、店員からお弁当を受け取り新幹線の中に入る。

　日帰り予定なのでキャリーなどの重い荷物持ってこなくて良かった……

　持って居たら確実にモタついて新幹線乗れなかったよ。

「Aもその弁当食べたかったの？じゃあ片方少し分けてよ」

　新幹線の中に乗り込み、自分達の座席を探しながら車両を見て回ると後ろから「俺はどっちの弁当でも良いから！」と笑うヴィクトルにそう言われる。

「わかったよ。そのかわりヴィクトルのも少し頂戴ね」

「もちろん。あ、俺窓際行っていい？」

　外の景色を見て写真を撮りたいのだろうか。

　私も勇利も特に外の景色には興味ないので窓際を譲った。

「あ、真ん中座っちゃったけど勇利、ヴィクトルの隣が良かった？」

「え？！なんで！」

「いつも隣にいるから」

「いつも隣にいるのはAじゃないの？」

「それ寝るときぐらいだって」

　突然どちらがヴィクトルの隣にいるかと笑い合いながら議論になる。

「なになに？何の話？」

　クスクス車内で小さく笑い合う私達にヴィクトルは笑顔で聞いてくる。

「ヴィクトルの話だよ」

　笑ってそう言えば「あぁ、モテる男はつらいね」などと冗談を飛ばしている。

「それよりAー俺、弁当食べたいー」

「え？もう？」

　博多駅に着く前に家で朝食食べたのに？

「うん。インスタにも画像上げたいし、それに2時間半もの旅路だよ。ゆっくりゴハン食べればいい」

　それもそうか。私は背面テーブルに置いたままの袋に入ったお弁当をそのまま渡す。

「じゃあ俺これ食べる」

　鶏めし弁当をヴィクトルは手に持った。

「よし、A写真撮って」

　スマホを手渡されたので、彼をスマホに収めようとする。

「かっこよく撮ってねー」

「ヴィクトルは元が良いから大丈夫だよー」

　カシャリとシャッターを切る。

　関西まで暇をせずに済みそうだ。