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「A、起きて」
ユサユサと身体を揺らされ、私はうなだれる。
「……ゔ、重い……」
マッカチン重いんだけど…そう思い薄く目を開けると上にはヴィクトルの頭が乗っかっている。
「うわぁ！び、ビックリしたなぁ」
「やぁ、おはよ。目が覚めた？」
ほんと、彼はいろいろな方法で私を驚かすなぁ。
「覚めましたよ。マッカチンかと思った……」
起きるから頭を退けてくれと指示するとすんなり頭を上げてくれた。
しかし、今日はヴィクトルに起こされたか。
「今日はAが勇利のフリー用の衣装を作るって本人に言う日だから早く起きたんだよ」
何その理由。まぁ、温泉 on ICEの日からひた隠しにして来たから、彼も驚くだろうな。
驚く顔が見たい反面、拒否されたらどうしようという考えも浮かぶ。
まぁ、そん時は自分の熱意を込めたデザイン集持って言葉でお願いすれば良いか……
拒否されたらそん時はそん時だ。
「よし、ヴィクトル、アイスキャッスルに向かおう！」
私は描きだめていたデザイン集とパターン集を入れたファイルケースをカバンに詰めて準備満タンだ。
「今日は荷物多いんだね」
「ふふ、武士は戦に行く時はいかなる状況にでもキチンと対応できるんだよ」
「ブシドーってやつ？」
廊下を二人で降りながらしょうもない話をした。
「……来ないねぇ」
そんな今日の敵である勇利くんが来ない。
ヴィクトルは無言を貫いている。
「勇利くん寝坊かなぁ」
リンクの中心で待っているヴィクトルは顎に手をやり、勇利くんを待っている。
大きなバタバタと走る音が聞こえ大きな音を立ててリンクの入り口が開く、と思えば勇利くんが入って来た。
「おはよ、勇利くん。朝ごはんちゃんと食べた？」
「おはよう。俺をここまで待たせるなんてアエロフロートか勇利ぐらいだよ」
その朝の挨拶に慌ててか、あわあわしながらリンクに滑るように入って土下座する。
ヴィクトルは笑って「ジャパニーズドゲザ」と言って手を叩いてる。
さて、そうこう言っているうちに練習が始まった。
何か考え事をしてる風に見える勇利くんは私の目の前でジャンプを失敗してダイナミックにコケた。
「ゆ、勇利くん大丈夫……？」
「勇利って考え事してるとジャンプ失敗するよねー」
ヴィクトルが休憩にしようと指示を出し、勇利くんがリンクを上がって来たところで私はすかさず彼に声をかける。
「勇利くん、ちょっとーいいかな？」
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作者名：かなぁ | 作成日時：2016年11月25日 14時
