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愛はどこにあるか。 ページ8

「ヴィクトル〜愛ってなんだと思うー?」

 自室で勇利のフリー用の衣装を考えている時に彼の曲のテーマについて触れた。

 テーマは勇利の愛について。

 勇利なりの愛を衣装で表現して行く中で、自分の愛や他の人の愛って何なのだろうと思い、雑談がてらヴィクトルに問う。

「どうしたいきなり。Aも勇利に感化されたの?」

「うーん。まぁそんな感じー?」

 答えがないならそれで良いと自分から出した話題なのに自ら話を流す。

「……なんだろうね。愛って」

 ヴィクトルはソファーに座って横の肘掛に肘を置いて頬杖をついている。

「ねー 愛には種類が多すぎると思うんだよね」

 好きが愛だと言えば、家族愛も愛って言うし、思いやりが愛だと言う人もいる。

「みんな愛って言葉に惑わされ過ぎてるのかもね」

「ははっ、普段のAからは想像できないぐらいロマンチックで詩的な事を言うんだね」

「うん。いろいろ考えてると感傷的になって詩的にならない?」

 まぁ、ヴィクトルと私は違うから「ならない」って返事が来てもおかしくないと紙に鉛筆を走らせつつ思っていると「なるよ」と一言返事が返って来た。

「へぇーなるんだ。意外」

 別に意外でもなんでもないか。彼も人間だ。

 返事が大袈裟で雑なのは忘れてもいい様な他愛もない話をしているからだ。

「Aから話をしておいて返事が雑じゃない? まぁ、いいけど。この歳になるといろいろ考えるんだよ」

 それはスケート人生のことを指しているのか、実年齢を指して言っているのか分からない。

「そっかーヴィクトルもいろいろ考えるんだね」

 私は鉛筆を手から離し机の上に置き、ヴィクトルの横に座る。

「A少し疲れてるんじゃないのか?」

 らしくないとヴィクトルに頭を撫でられ髪を触られる。

「そうかもーやっぱりあんまり考え過ぎは良くないよねー」

 撫でられていた頭をヴィクトルの肩へ傾けて預ける。

「もう寝るかい?」

「うん。あと少ししたら」

 私はこの体勢のまま息を吐いた。

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作者名:かなぁ | 作成日時:2016年11月15日 14時

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