【ユーリ!!!】短編集 (ページ6)

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髪ページ6

「あれA、寝るときに髪結ぶの？」

　私はせっせと寝る前ベッドの淵に座って髪を緩く三つ編みにしている。

「うーん、最近髪伸びてきて寝返りうつときに髪を背中で踏んで首が引っかかって起きちゃうからさー」

　特にしたい髪型もないので伸ばしている形になっているのだが。

「それに三つ編みにしていると朝起きた時にウェーブがかかって可愛いでしょ？」

「ストレートな髪も好きだけどね」

　間髪を入れずにそう言うコトを平然と言ってくる。

「ふーんじゃあ今日は三つ編みにして明日は普通にくくってストレートにしよーかな」

　左右で三つ編みを作るので一本三つ編みを作り終えた髪を離すと、まとめていたもうひとつの髪がない。

　手ですくえなかった自分の髪を目で探すとヴィクトルが近くに寄って私の髪を三つ編みにしていた。

「俺も昔は髪長かったなー」

　どこか懐かしむ彼は優しく髪を結ってくれている。

「……知ってるよ」

「え？俺と合うまで俺のこと知らなかったのに？」

「勇利の部屋にあった雑誌で見たよ。」

　今でも細く絹のような髪だが伸びているころは、さぞ美しかったのだろう。

「あれだけ長かったら髪の手入れ大変だったでしょ？」

　三つ編みをし終えて満足のいったヴィクトルは布団に潜り電気を消し、間接照明を付けてくれる。

「いや？特に乾かしてオイル塗るだけで何もしてない」

　そのオイルを塗るってのが大切だと思うんだけどな。

「そうなんだ。羨ましいー」

　私も出来上がった髪を肩にかけて布団に潜る。

「そういうAも髪に時間かけてないでしょ？」

　そういう女子力ないと妙に蔑むような言い回しでいうのをやめて欲しい。

「ゔ、うん。面倒で……」

「それでもかなり綺麗だよね。痛んでる髪を見ると普通切りたくなるし、髪を伸ばしてるってことは髪が傷んでない証拠だよ」

　次は妙に優しくフォローしながら話をしてくる。

「そういえばヴィクトルは昔はあれだけ長かったのにどうして切ったの？」

「知りたい？」

「え？そんな理由とかあるの？」

　ヴィクトル側にある間接照明の電源を切ろうと彼の体を通り越して腕をつき手を伸ばして電源を切ろうとするが届かない。

「うん。それはね……」

　そうすると寝ているヴィクトルが手を伸ばして電源を切ってくれた。

　真っ暗になった部屋で私は布団に入る。

「それは？何？」

「……やーっぱナイショー！」

「えぇーなにそれ！教えてよ！」

　