キミの出身地 ページ2
「Aちゃんて関西出身だったよね」
勇利くんが夕飯後に勝生家のリビングといって良いのだろうか、そんな和室で私に質問してくる。
「そうだよー」
どうして今更そんなことを聞いたのか質問する。
「いや、大阪とか京都とか行ったことあんまりないからどんなところなのか気になって」
まぁ、そういう事だろうとはどこかで予測していた。
「うーん、まぁ少なからずここよりかは都会かな。通勤ラッシュとかだと2分に1本電車がくる」
ええ?!と勇利くんは驚いている。
そんな彼の驚いた声にヴィクトルは何々と興味津々で寝転んでいた上体を起こす。
「私の住んでたとこの話しをしてるの」
ヴィクトルはオレも聞きたい〜と乗り気だ。
そんな彼に勇利くんは先ほどの電車の話をする。
「へーAはよくそんなところに住んでるねー」
毎日忙しいでしょ。と笑って妙に毒付かれた。
「まぁね。長谷津より全然毎日が目まぐるしかったよ。ここは時間がゆっくり流れてて良い」
コップに入った麦茶を飲みながら言う。
「ただ、」
大きくため息を吐く私を見て勇利くんは心配し、ヴィクトルはどうしたんだという顔をする。
「ただ……ここにいるとホーム球場が遠い!」
勇利くんはなんだと心配していた顔を崩す。
「なにその反応〜」
ぶすっとした表情をする私に勇利くんは「AちゃんはAちゃんだと思って安心したよ」と笑って床に両手をつく。
「自宅から30分が自宅から3時間は全然違うもん」
当然のことを言う。
「でも、ここに来たのは自分の意思じゃない?」
ヴィクトルはホントいつでも痛いとこを突いてくるなぁ。
「まぁね。 でも、長谷津にきてヴィクトルや勇利くんに合ってフィギュアに出会えたことはホント関西から出て来て良かったと心底思ってるよ」
いつの間にか再び床で寝そべっているヴィクトルの髪を触った。
「ホント、長谷津には何か引き寄せる力があるんじゃないかな?」
私がそう言うとヴィクトルは私の話を若干否定する。
「長谷津にじゃなくて勇利に俺たち引き寄せられたんだよ」
「あはは、それが正しいかもね」
笑む私達に勇利くんは照れた笑いを見せた。
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作者名:かなぁ | 作成日時:2016年11月15日 14時