そして私たちはの巻 ページ33
ーーだから言ったでしょ
バレたら最後、モラルのない人間に成り下がるしかないんだと。
自分の中の過去の自分がそう嘲笑った気がした。
あれから、誠士郎は出て行った。
家の中はそれはもう地獄のようで、
私はパパとママを酷い言葉で痛めつけた。
学校に行く気にもなれず、部屋に引きこもって
毎日流れる涙をもう拭いてくれる人には会えない。
『(あれから、何日経ったんだろう)』
コンコン、と部屋の扉が鳴る。
ママがご飯を持ってやってきたみたいだ。
「A?貴方もう何日食べてないの?
ママいい加減心配だから、お願いだから食べて」
『要らない。』
「ねえ、お願いだから...誠ちゃんの件はこうするしかなかったじゃない...しっかり反省してパパにお願いしたらまたみんなで家族になろう?」
『反省って...私たちはなにも悪いことなんてしてない!
ママだって、今までずっと私のこと放置してたくせに、
自分に余裕ができたからって急に干渉してきて
親みたいなこと言い出して!!!勝手に再婚決めてきたのだって私は許してないんだから!
ママはいっつもそう!
自分がいいと思ってることが私もいいと思ってる。
家族?バカじゃないの!
私はパパが欲しいなんて一言も言ってない!
前のパパの時だってパパにいて欲しいだなんてカケラも思ってなかった!ずっと苦しい思いをしてたのにママは私のため私のためって取り合ってくれなかったじゃない!
私のためを思うなら、早く離婚すればよかった!
私のためを思うなら、ずっと私とだけ家族でいればよかった!
私のためを思うなら...
誠士郎と居ることくらい許してよっ...』
うわぁぁあん、と声をあげて泣いた。
まるで子供のように。
小さい時からたくさん我慢をしてきた私は
こう言う時の気持ちの抑え方をしらない。
言わなくていいことを言った。
今、持てる武器全部使ってママを最大限に傷つけた。
けど、止まらなかった。
「A...」
『もういい子でいるのやだよぉっ...
私っ、ずっといい子だったよね...ずっといい娘だったでしょぉ...
なんで好きな人といっしょになれないのお...っ?』
ママはひどく傷ついた顔をして、私の頭を撫でる。
その間はなにも言わなくて暫くして「ご飯だけは食べてね」とだけ言って部屋を出て行った。
◆
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きゅんた(プロフ) - 玉子ぷりんさん» 初期から読んでいただいてありがとうございました♡ヒロインも誠士郎くんもきっと玉子ぷりんさんに感謝していると思います(^^)♡色々な作品書いているのでぜひ読んでみてください(^^)♡応援ありがとうございます! (6月4日 19時) (レス) id: 7cf9bc3205 (このIDを非表示/違反報告)
玉子ぷりん - 完結おめでとうございます!久しぶりに占ツクにきたら完結していて、寂しかったけどハッピーエンドで嬉しかったです!凪(誠士郎くん)がもっと好きになりました!次回作も楽しみです!これからも応援してます! (6月3日 22時) (レス) @page43 id: 07e67c9327 (このIDを非表示/違反報告)
きゅんた(プロフ) - 甘野さん» 誠士郎くんグイグイですよね(^^)♡応援ありがとうございます〜更新頑張ります!♡ (5月9日 10時) (レス) id: 7cf9bc3205 (このIDを非表示/違反報告)
甘野(プロフ) - 更新有難うございます ..!設定が神すぎてずっとにやにやしながら見ちゃってます(笑)それにしても凪くん(誠士郎くん?笑)グイグイ来てて凄いどきどきしてます〜♡素敵な作品をありがとうございます!これからも応援してます🎶作者様のペースで頑張って下さい! (2023年5月6日 17時) (レス) @page9 id: b338b8448c (このIDを非表示/違反報告)
きゅんた(プロフ) - 玉子ぷりんさん» 凪くんならこれだなって妄想が膨らんじゃいました...! (2023年5月4日 2時) (レス) id: 7cf9bc3205 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きゅんた | 作成日時:2023年4月29日 20時