罪悪感から背徳感の巻 ページ30
この時の私たちは自分たちが選んだ道が
命綱のない綱渡りのように細いことにまだ気づいていなかった。
ーーー...
「どう言うことか説明できるかな、
誠士郎、Aちゃん」
「あなたたち、まさか...そんな関係になってただなんて...
嘘よね?どうなの?答えなさい!」
◆
誠士郎と姉弟になって数ヶ月が経った。
季節も夏から秋にかわり朝は肌寒くなってきた、
私たちの関係も相変わらず親の目を盗む毎日だ。
『誠士郎、おはよ』
「おはよう、姉さん」
変わったことといえば、誠士郎と呼ぶようになったこと
敬語を使わなくなったことくらいだ。
ぎゅう、と腰辺りを抱きしめてまだ起きようとしない
誠士郎の柔らかい髪の毛を撫でる。
「ん...」
お互いが深夜になればどちらかの部屋に潜り込んでは
朝まで抱き合って眠る。父は放任なので子供部屋しかない2階に登ってくることはないし、
看護師の母が夜勤明けで家に帰ってくるまでは
束の間の幸せな時間を送れる。
『誠士郎、ママ帰ってくるから離して』
「ん、わかった。」
正直、この頃はもう罪悪感は消えていって
背徳感のようなものを感じるようになっていた。
気が緩んでいるのだと思う。
誠士郎に対する愛おしさは日に日に募っていった。
『(寝顔、かわいいな...昨夜はあんなにかっこよく見えたのに...このまま、誰の目にも届かないような所に行けば
こうやって時間を気にせずにずっと一緒にいれるのかな)』
未成年の葛藤だ。
ずっと一緒にいたいと思えば思うほど
自分の無力さに押し潰されそうになる。
そうした気の緩みからか
私の成績も徐々にだが落ちていった。
もともとやらなければできない人間なのだから当たり前といえば当たり前だった。
「ちょっと...最近成績落ちすぎねぇ...体調でも悪いのかしら」
中間テストの成績が春先よりもぐんと落ちたことにより
珍しく休みだった母からお叱りを受ける。
『ごめんなさい』
「まあまあ、Aちゃんは元々やれば出来るんだし
そんなに怒らなくても大丈夫さ」
パパもソファに座って穏やかな表情で話しかけてくる。
「そうは言ってもパパ、誠ちゃんは成績変わらないわよ?
たまにとんでもない点数とってくることはあるけれども〜」
「誠士郎はやる気を出せば優秀なんだけどねえ
どうも小さい頃から掴みどころのない子だから」
ここ最近はサッカーが忙しくなった為か、
夕飯時に誠士郎が帰ってくることはない。
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きゅんた(プロフ) - 玉子ぷりんさん» 初期から読んでいただいてありがとうございました♡ヒロインも誠士郎くんもきっと玉子ぷりんさんに感謝していると思います(^^)♡色々な作品書いているのでぜひ読んでみてください(^^)♡応援ありがとうございます! (6月4日 19時) (レス) id: 7cf9bc3205 (このIDを非表示/違反報告)
玉子ぷりん - 完結おめでとうございます!久しぶりに占ツクにきたら完結していて、寂しかったけどハッピーエンドで嬉しかったです!凪(誠士郎くん)がもっと好きになりました!次回作も楽しみです!これからも応援してます! (6月3日 22時) (レス) @page43 id: 07e67c9327 (このIDを非表示/違反報告)
きゅんた(プロフ) - 甘野さん» 誠士郎くんグイグイですよね(^^)♡応援ありがとうございます〜更新頑張ります!♡ (5月9日 10時) (レス) id: 7cf9bc3205 (このIDを非表示/違反報告)
甘野(プロフ) - 更新有難うございます ..!設定が神すぎてずっとにやにやしながら見ちゃってます(笑)それにしても凪くん(誠士郎くん?笑)グイグイ来てて凄いどきどきしてます〜♡素敵な作品をありがとうございます!これからも応援してます🎶作者様のペースで頑張って下さい! (2023年5月6日 17時) (レス) @page9 id: b338b8448c (このIDを非表示/違反報告)
きゅんた(プロフ) - 玉子ぷりんさん» 凪くんならこれだなって妄想が膨らんじゃいました...! (2023年5月4日 2時) (レス) id: 7cf9bc3205 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きゅんた | 作成日時:2023年4月29日 20時