逃げてみなよ、の巻 ページ13
学校が終わると、見慣れた影が一つ。
学ランだ。
『あ、内永さん。』
「凪さん...こんにちは」
『こんにちは。どうかされましたか?』
顔を真っ赤にしている内永さんが、
こちらに向かって手を振っている。
「連絡したんですけど、返事がなくて...
来ちゃいました。迷惑でしたか?」
『あ、すいません。今日は携帯を見る時間がなくて...迷惑だなんてそんな』
携帯の画面を確認すると、
確かに内永さんから連絡が来ていた。
「いいんですいいんです!
白い彼は今日は居ないんですか?」
『あ...ああ誠士郎くんは暫くは来ないんです』
「そうなんですね!なら駅までは俺が送ります
最寄りは8駅向こうですよね?」
『へ?あ、はい。』
人懐っこい笑顔が私に向けられた。
私、最寄りの話なんて内永さんにしてたかなあ...
ま、なんでもないただの住宅地だし、
内永さんも同じ路線なのかもしれない。
駅に着くと、彼はそれじゃと踵を返していく。
同じ路線のユーザーでもないのか...
彼の背中を首を捻って見送る。
まあ、当てずっぽうで言ったのかもしれないし、と
私はそれ以上考えることを辞めた。
曇天の空はなんだか私の気持ちのようで
なんだか気だるい体を引きずるように帰った。
「おかえり、姉さん」
『ただいまです、誠士郎くん』
「母さん病院?」
『そうですね、夜勤です。』
「父さんも、今日は社内泊らしい。
仕事おわんないんだって」
台所で手を洗って居たらレモンティーをとりに来た誠士郎くんが後ろからそう話しかけてきた。
『そうなんですね』
「うん」
『...』
そっかあ朝まで2人きりですか。
なんでもない風に答えてしまったけれど、
大丈夫なのだろうか。
『とりあえず夕飯作りますね』
「ん、夕飯なーに」
後ろからピッタリ引っ付いてきた彼に肩を跳ねさせた。
『だ、めです!』
「なんで?姉さんに触れたいと思うから引っ付いて居たいんだよ」
『それ朝にも言いましたけどだめなんです』
「俺も朝に言ったけど承諾してないよ」
『なっ...』
「言ったよね?」
後ろから私を胸に収めた誠士郎くんが
耳元でこういう。
「逃げられるもんなら逃げてみなよって」
また、キスされ...、
手首を握られて、引き寄せられる。
ちゅ、という音が耳に届く。
『ふっ...』
「ほら、逃げてみなよ」
『んんっ、やっ...』
「ほら」
何度も何度も唇を重ねられる。
強い力で引き寄せられて何もできない。
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きゅんた(プロフ) - 玉子ぷりんさん» 初期から読んでいただいてありがとうございました♡ヒロインも誠士郎くんもきっと玉子ぷりんさんに感謝していると思います(^^)♡色々な作品書いているのでぜひ読んでみてください(^^)♡応援ありがとうございます! (6月4日 19時) (レス) id: 7cf9bc3205 (このIDを非表示/違反報告)
玉子ぷりん - 完結おめでとうございます!久しぶりに占ツクにきたら完結していて、寂しかったけどハッピーエンドで嬉しかったです!凪(誠士郎くん)がもっと好きになりました!次回作も楽しみです!これからも応援してます! (6月3日 22時) (レス) @page43 id: 07e67c9327 (このIDを非表示/違反報告)
きゅんた(プロフ) - 甘野さん» 誠士郎くんグイグイですよね(^^)♡応援ありがとうございます〜更新頑張ります!♡ (5月9日 10時) (レス) id: 7cf9bc3205 (このIDを非表示/違反報告)
甘野(プロフ) - 更新有難うございます ..!設定が神すぎてずっとにやにやしながら見ちゃってます(笑)それにしても凪くん(誠士郎くん?笑)グイグイ来てて凄いどきどきしてます〜♡素敵な作品をありがとうございます!これからも応援してます🎶作者様のペースで頑張って下さい! (2023年5月6日 17時) (レス) @page9 id: b338b8448c (このIDを非表示/違反報告)
きゅんた(プロフ) - 玉子ぷりんさん» 凪くんならこれだなって妄想が膨らんじゃいました...! (2023年5月4日 2時) (レス) id: 7cf9bc3205 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きゅんた | 作成日時:2023年4月29日 20時