尋問 ページ20
From Rollo
奴が怪我をした2日後、四限が終わると私は教員棟の面談室に向かった
戸を開けるとそこには既に例の生徒と飛行術の指導教官が並んでソファに座っていた
まだ一年生でありあどけなさの残る彼は私の顔を見ると肩を震わせてわかりやすく怯えた
私は机を挟んで彼らと向かい側のソファに腰掛けた
「それで、何故こんな所に呼ばれたか分かっているかね」
「それは…」
彼は勢いよく立ち上がると、私の足元まで歩いてくる
教師はそれを必死に止めようとしたが、止める間もなく彼はそこで跪き、頭を床についた
「リヴィエール君に怪我を負わせてしまい、本当に申し訳ございませんでした！」
「ほぅ、君は被害者が『A・リヴィエール』だから謝るということか？それはつまり彼の仕える私に媚を売ることになっているのだとは思わないのかね」
ひれ伏したままの彼の背中は小刻みに震えている
椅子から立ち上がり、屈むと、彼の肩を掴み、前を向かせる
「つまり彼への謝罪よりも自らの保身を優先すると宣言するようなものだな
現に君はこの二日間、いくら止められているとはいえ、彼を見舞おうともしなかった…違うか？」
私を見たまま固まっていた彼は、暫く考えた後にまた俯き、小声でごめんなさい、と言った
「認めるか。案外潔いな」
再び椅子に座り、足を組んで彼を見下ろす
「まぁいい。君は勘違いしているようだが、ここに君を呼んだのは、侍従を傷つけた君を個人的に叱るためではない。生徒として許されない事をした君に生徒会長として厳重注意をするためだ」
教員にソファまで連れ戻された彼は、また怯えた目で静かに私を見る
「飛行術は高い集中力が必要とされる。まして初心者の多い新入生の授業では、先生方によって天候やコースまで安全管理を徹底された状況の下で指導が行われる…だが君はどうだね」
彼の肩が再び震えた
「多少の心得があるからと言って1人コースを外れ、しかも風が強く煽られやすい上空に向かい、教員の注意も無視して飛び続けた。そして案の定、バランスを崩して同級生を傷つけた。違うかね？」
彼はまた俯くと「はい、その通りです」と答えた
白々しい演技だな
「全く、学校の管理をする生徒会として、この様に危険行為を犯すものがclocheに居るなど嘆かわしく思うよ」
「か、会長…！それだけは…！」
「通常クラスが嫌かね？なら退学という手も…」
そこで唐突にノック音が響いた
「失礼しますよー」
そう言って入ってきたのは車椅子を押す校医とAだった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：nagisa | 作成日時：2023年3月8日 3時
