僕の街と君 ページ9
from Ivan
「わー！すごい！見てくださいよ！ずっと来たかったんです！」
ずっとそう言ってはしゃいでる彼女は、とても微笑ましかった。クレムリンのチケットを買ってあげた時、教会を見た時、博物館に入った時、何回もその笑顔を見れた。てけてけと駆けていく姿もかわいい…ね。
「うふふ、僕はほぼ毎日見てる光景だけどねー。」
僕はどの施設もほぼ顔パスとなってるが、今日は自分の分もちゃんと買った。彼女の普通の友達になれたみたいで、嬉しかった。記念に写真も撮った。チケットを見つめる君、塔を指差して僕の手を引く君、そして今、百貨店のレストランでチョコケーキを食べる君。
「ふふっ、クリーム、ついてるよ。」
ここ、と指差したら、ぺろっと舐めた。
「おいしいです…さっきから買ってもらってばかりで、すみません…。」
彼女は椅子に置いてある紙袋を見ながら言った。
「いいんだよ。だって君、まだこっちでの口座がないから、お金使いづらいでしょ？」
「はい…でも、薄着で来てしまったのは自分なので…洋服ばっかり買ってもらって、恐縮です。」
彼女には、冬用の厚手のコートを私服用と仕事用に2枚と、ボーカラーのシャツを数枚、ズボンを好む彼女のために、長めの深いプリーツスカートと膝丈のタイトスカートを色違いで其々2枚ずつ買った。下着は良いって言ってたけど…
「まさか、転勤だっていうのに、スーツと下着しか持ってきてないなんてね。」
彼女はもぐもぐと食べるのをやめた。
「むーむ、むーむむ！」
「こっちでも買えるって思ったのね。」
「…そうです！」
「でも、小さい君のサイズ探すの大変だったよね。」
「か、かたじけない…。」
しょぼんとしている…犬みたいだよね。
「そういえば、そーるぬぃしこ？ってなんですか？」
「え、さっきの店員との会話、聞いてたの？」
「はい。」
んー…言いづらい。
「その、知ってるかどうか判らないけど、ロシアでは手を繋いで歩いてる男女は、大体恋人なんだよ。」
「え、迷子になるから繋がれてるだけでも…？」
「うん。君みたいな方向音痴はそんなにいないからね。だから、店員に恋人かどうか聞かれたの。」
「…え、Даって言ってましたよね」
「だって、部下且つ居候なんて、言うの面倒くさい…」
「でも！恋人なんだなーって思われちゃうじゃないですか！こんなイケメンと、恥ずかしい…。」
だから、君はかわいいってば…って、後で教えてあげよう。今日はこの子のためにボルシチ作ろっかなー。
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nagisa(プロフ) - 5年前ここにいた靴下さん» 投稿ありがとうございます。私は小説にも不慣れで、ロシアの事も調べ直したりしながら書いているので自信が無いですが、貴方のコメントがとても励みになりました。ありがとうございます。これからも勉強の息抜きに書いていきますので宜しくお願い致します。 (2020年9月7日 21時) (
レス) id: 1cfde98f99 (このIDを非表示/違反報告)
5年前ここにいた靴下 - はじめまして！この小説を読んでいると、貴方がよくロシアを調べていて、また貴方が本当にロシアが好きな事が脈々と伝わってくる素敵な作品だと思います。久々に占ツクを訪れましたが、素敵な作品に出会えて嬉しいです。プロフも拝見しました、学業の方も応援しています (2020年8月24日 18時) (レス) id: 4b21b7f13b (このIDを非表示/違反報告)
nagisa(プロフ) - 通りすがりさん» 投稿ありがとうございます。ロシアさんの作品は初めてですが、実は、アカウントのパスワードを忘れてしまったアカウントで、作品を投稿したことがあります。一作だけですが…。これからも少しずつ、自分の気分転換にでも書いていきたいです。応援、励みになります。 (2020年4月12日 22時) (レス) id: 1cfde98f99 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがり - こんにちは！久しぶりに見たら貴方の投稿があって、とても嬉しかったです！だいすきなロシアさんの、読んでいて楽しくなる、こう言う小説を待ってました！初作ではないんですか？見たことない文章だったのでびっくりしました！これからもぜひ、頑張ってください！ (2020年4月12日 19時) (レス) id: acd4473d19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nagisa | 作成日時：2019年9月30日 22時
