あの女と ページ48
from Bella
朝、家の電話が鳴る。少し早い時間なので、訝しく思って電話に出る
「はい？」
「あの、ベラルーシさんですか？」
声で分かった、あの女
「なんでお前が？もういい、切る」
「あ、ちょっと待ってください！貴方のお兄さんの事で話が！」彼女のその兄さんという言葉に引っかかって手を止めた
「くだらない事だったら、すぐに切る」
「はい、わかりました。あの、お兄さんの好みが分かったかもしれないんです！」
「兄さんの好み？」
なに、それ、知らない...
「はい、服とか、メイクとか、それで、よかったら、ベラルーシさんにお伝えしたくて...今度一緒に百貨店になんて、行けないですかね？私がお金を出しますから！」
「お前と百貨店？」
「はい、だ、だめだったら、オススメだけでも送れますが...できれば、一緒に見て回りたいのです。貴女がお忙しいのは分かっていますが、どうでしょうか？」
今週末は、兄さんをこの前の彼女への攻撃で怒らせてしまったために会議がキャンセルになったので、時間があるし、元々のモスクワへの切符もある
「今週の日曜日なら空いている。お前となのが不本意だが」
「はい、すみません。ありがとうございます！」
「本当に、金までだすのか？」
「ええ、来ていただくのでそれくらいは。では、よろしくお願いします！ありがとうございます！」
電話を切ったが、あの女、なんなんだ？
「訳がわからない。私に兄さんの好みの物を教えて、金まで払って買うって？」
でも、今まで知れなかった兄さんの好みが知れたら、きっと少しは、距離が近くなるのではないか、その淡い期待を持って、私はモスクワに降り立った
「移動ご苦労様です。ありがとうございます」
「いや、別に」
「寒いので、早速グムに向かいましょう」
「兄さんは？」
「実は、驚かせたくて言ってないので、まだ秘密でお願いします」
彼女はタクシーを呼び止めて、駅からグムに向かった
「ベラさんは、いつも、カッコいい服を着ていますよね。美人さんで、着こなせてて、羨ましい限りです」
「私は、お前が羨ましいぞ。兄さんと一緒で」
「彼も、私には勿体ない上司です」
「ただの上司か？」
「上司兼保護者、ですかね」
そう言って笑った彼女の顔は、嫌味なんてない、ほんとに可愛らしい照れが垣間見えて、こいつが兄さんに好かれるのも納得した。素朴さと、幼さ、そして、しなやかさ
「そういうところなんだな」
私は微笑んだ
やけに酷い今日のモスクワの寒さが、少し緩んだ気がした。
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nagisa(プロフ) - 5年前ここにいた靴下さん» 投稿ありがとうございます。私は小説にも不慣れで、ロシアの事も調べ直したりしながら書いているので自信が無いですが、貴方のコメントがとても励みになりました。ありがとうございます。これからも勉強の息抜きに書いていきますので宜しくお願い致します。 (2020年9月7日 21時) (
レス) id: 1cfde98f99 (このIDを非表示/違反報告)
5年前ここにいた靴下 - はじめまして！この小説を読んでいると、貴方がよくロシアを調べていて、また貴方が本当にロシアが好きな事が脈々と伝わってくる素敵な作品だと思います。久々に占ツクを訪れましたが、素敵な作品に出会えて嬉しいです。プロフも拝見しました、学業の方も応援しています (2020年8月24日 18時) (レス) id: 4b21b7f13b (このIDを非表示/違反報告)
nagisa(プロフ) - 通りすがりさん» 投稿ありがとうございます。ロシアさんの作品は初めてですが、実は、アカウントのパスワードを忘れてしまったアカウントで、作品を投稿したことがあります。一作だけですが…。これからも少しずつ、自分の気分転換にでも書いていきたいです。応援、励みになります。 (2020年4月12日 22時) (レス) id: 1cfde98f99 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがり - こんにちは！久しぶりに見たら貴方の投稿があって、とても嬉しかったです！だいすきなロシアさんの、読んでいて楽しくなる、こう言う小説を待ってました！初作ではないんですか？見たことない文章だったのでびっくりしました！これからもぜひ、頑張ってください！ (2020年4月12日 19時) (レス) id: acd4473d19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nagisa | 作成日時：2019年9月30日 22時
