マニュアル ページ5
fromA
「あの、ロシアさん？」
黒塗りの車に乗ってマニュアルを見ているが、このマニュアル、謎が多すぎる…。
「うん？どうしたの？」
「イヴァンって呼ぶのは2人でいる時、ロシアって呼ぶのは仕事の時、あと、この、僕の心身を癒すこと、って、ぜったい貴方が書き足しましたよね？手書きですし。」
彼は一瞬黙り、その後、笑った。
「あは、ばれちゃった？」
「あと、貴方の家に泊まることって…。」
「それは、秘書官だもん。」
「そういうものですか？」
「うん。それが普通、のはず、だよ。」
「お家は…」
「もうすぐ着くよ。ほら、ここ。」
車が曲がった先には、一軒家のものとは思えない大きな門があった。警備の人が彼に敬礼し、門が開く。彼は窓をあけ、彼らに「もう帰って大丈夫だよ。」と言った。入ってすぐに噴水があり、車はそれを回って、奥の建物の前で泊まった。
「車庫に入れてくるから、家に入ってていいよ。」
そう言って鍵を渡される。
「あ、ありがとうございます…荷物、取ってきます」
「いいよ、寒いし、僕が持ってくよ。」
「…はい。」
至れり尽くせりなのだが…。こんなんで、秘書としていいのだろうか。
扉を開けると、そこには赤絨毯が敷かれていた。入ってすぐ左手に二階への曲線階段がつながっていて、右手には暖炉がある。床は、絨毯こそあるものの、大理石なので冷え込んでいる。私が一歩踏み出すと、真上のシャンデリアがついた。古い作りだが、動感センサーが付いているらしい。改めて見ると、入り口側には大きな窓があり、装飾も凝ったものが多い。
「うーん。豪華すぎん？」
その時、後ろでドアが開いて、彼が入ってきた。
「あ、ドア、抑えてくれてありがとう。これ、君の荷物ね。」
「ありがとうございます。雪、ついちゃってますよ」
そう言って、背伸びして彼の髪や肩を払う。
「うふふ。この家で1人じゃないのなんて、何年ぶりだろう。なんか、うれしいなぁ。」
「いつも一人でここに帰ってくるんですか…。」
それはあまりにも寂しそうではないか…。
「まあ、これからは違うけどね。」
彼はうれしそうにそう言った。
「身体、疲れてない？」
「大丈夫です。」
「そう、じゃあ、コート置いたらこの家の中、案内するから、ついてきて。」
「はい。」
彼は私の荷物をまた持っていってくれた。
「やさしいひとじゃない。」
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nagisa(プロフ) - 5年前ここにいた靴下さん» 投稿ありがとうございます。私は小説にも不慣れで、ロシアの事も調べ直したりしながら書いているので自信が無いですが、貴方のコメントがとても励みになりました。ありがとうございます。これからも勉強の息抜きに書いていきますので宜しくお願い致します。 (2020年9月7日 21時) (
レス) id: 1cfde98f99 (このIDを非表示/違反報告)
5年前ここにいた靴下 - はじめまして！この小説を読んでいると、貴方がよくロシアを調べていて、また貴方が本当にロシアが好きな事が脈々と伝わってくる素敵な作品だと思います。久々に占ツクを訪れましたが、素敵な作品に出会えて嬉しいです。プロフも拝見しました、学業の方も応援しています (2020年8月24日 18時) (レス) id: 4b21b7f13b (このIDを非表示/違反報告)
nagisa(プロフ) - 通りすがりさん» 投稿ありがとうございます。ロシアさんの作品は初めてですが、実は、アカウントのパスワードを忘れてしまったアカウントで、作品を投稿したことがあります。一作だけですが…。これからも少しずつ、自分の気分転換にでも書いていきたいです。応援、励みになります。 (2020年4月12日 22時) (レス) id: 1cfde98f99 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがり - こんにちは！久しぶりに見たら貴方の投稿があって、とても嬉しかったです！だいすきなロシアさんの、読んでいて楽しくなる、こう言う小説を待ってました！初作ではないんですか？見たことない文章だったのでびっくりしました！これからもぜひ、頑張ってください！ (2020年4月12日 19時) (レス) id: acd4473d19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nagisa | 作成日時：2019年9月30日 22時
