赤に込める意味

普通の日 ページ29

from A
会議から普通に帰ってきて、普通に数日経過。今日は金曜日。普通の日の連続なのに私の心は普通じゃない
「なんで私と付き合ってるんでしょう…」
ずっとグルグルしてるその問。彼にぶつけられる筈もなくて自分じゃ悪い考えしか思い浮かばない。今日だって、優しい彼が一緒に居たいと言ってくれたのに自分の部屋に逃げてきてしまった。そんな時、電話が鳴った
「え、友佳？」大学時代のほぼ唯一の親友だ
「どうしたの？」
「どうしたって、こっちがよ。あんた、嬉しかったら連絡寄越すのが常なのに、憧れの国に着いてからあんま連絡してこないじゃない」彼女は冷静だ。いつも
「元気だよ」
「どうせまた、心は元気じゃないんでしょ？」
「うぅ」
「話なよ。1人じゃ仕方ない事を考えてるんでしょ」
「だってうち、ともみたいに恋愛経験ないもん…」
「そりゃあ渾名がソレンちゃんだった貴女には出来ないでしょうね」そんな私とも仲良くしてくれるいい友達。名前の通り…
「…嘘付いて日本人と付き合うメリットってある？」
「はあ…そっち系？相手の経済状況とか社会的地位によるでしょ」
だから、私は話した。彼は国である事以外は全部。荷物持ちも家事も何でも自らやってくれる紳士で、政府職員の中でも上級で、裕福でイケメンな事の全部を
「異性に興味がないあんたがそんだけ言うんだから、いい人なんでしょ？信じれば？」
「でも、私だよ？こんな野暮ったいのに…」
「あのねぇ、大学の時から言ってるけど、あんた、素はいいんだから、女子っぽくしてみたら自信持てるんじゃない？」
「自信を持つ…」
「悪いけど、話を聞く限り彼は貴女の事、本気だと思うよ。あのロシア人がそんな反応するなんてね…」
彼女の恋愛遍歴には触れない方が良い…
「本気、なのかな」
「そうよ。だから、本気で好きな人が、その人自身を卑下してるなんて、彼も知ったら悲しいと思うよ」
「でも、どうすればいいかな？」
「彼に彼の好みを聞いて合わせればいいのよ。仮にも…会って１０日でも、つきあってるんでしょ？」
「うん…」
「あと、ロシア人は割とピュアらしいから、あんまり弄ばない事」
今まで弄ってしまっていた事を思い出した
「すみません…気をつけます」
「あと、彼が美女と話してても気にしない」
やはり彼女にはバレていた。それで拗ねてたことが
「はい」
「彼が貴女が一番って言ってるんだから、信じてあげな。仕事上仕方ないし」
「持つべきものは友佳だよ…」
彼女がクスリと笑った

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