アイス食べたい ページ27
どうしよう。話終わっちゃった。
冷や汗は止まらないし。
何か話さなきゃ、えーとえーと。
本格的に話題に困った私は、なんでもいいからとりあえず思いついたことを口に出す。
「あ、暑いね！アイス食べたいなあ！」
「アイス？…悪い、寮に財布置いてきちまった。また今度にしてくれねえか？」
「そういう意味じゃない」
なんで奢らせようとしてるみたいになってるんだ。
轟の中の私は一体なんなんだろう。
そんなに食欲の権化に見えるのだろうか。
「そうか…あ。もしかして氷出せってことか？」
「いや食べねぇよ…私別に氷食症じゃないし」
でもアイスは食べたいなあ。
幸いすぐそこには、いつも図書館に行った帰りにおやつを買ったりするお馴染みのコンビニがある。
財布持ってるし、轟には悪いけど寄ってもいいかな。
「轟、コンビニ寄ってもいい？」
「アイス買うのか。分かった、待ってる」
「ありがと、すぐ買ってくるから…」
私はそこで、コンビニに入ろうとした足を止めてしまった。
轟が不思議そうに尋ねてくる。
「A？どうかしたのか？」
「あ…なんでもない。…やっぱ、コンビニはいいや」
「…そうか？」
轟はちょっと眉を下げてこちらをじっと見たけれど、理由を訊いたりはしなかった。
再び並んで歩き出す。
「Aはよく図書館に行くんだな」
「うん。図書館、昔から結構好きだから」
「いつも1人で行くのか？」
「え？」
その質問に、なぜかすぐに答えられなかった。
顔を覗き込まれて、目が合う。
今日も変わらず綺麗な目だ。
私の姿や心までも寸分違わず映し出してしまいそうな、穏やかな瞳。
「あ、いや、人と一緒に来るときもあるよ」
「…そうか」
轟は、やっぱりそれ以上は何も言わなかった。
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なぎさ(プロフ) - てのーるさん» 初めまして、コメントありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです！本作をお読みくださりありがとうございました！ (2018年10月21日 11時) (
レス) id: 2a6bd4d84b (このIDを非表示/違反報告)
てのーる - 全体がとても良くまとまったストーリー構成で、見ていて気持ちのいい物語でした！ これからもご自愛の上、執筆活動を頑張ってください^^ (2018年10月21日 2時) (レス) id: e945a347a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なぎさ | 作成日時：2018年8月17日 0時
