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｢夢を……見てたんだ｣
微かに震えていたのは気のせいだろうか？
｢夢？｣
｢昔の夢だ。忘れたよ｣
｢忘れてるなら泣くなよ。オーナーゼフに笑われんぞ｣
小さく嘘の笑いを零してサンジはいつもの仮面の顔になる
｢……ユリアって、俺の家族の話したっけ？｣
｢兄貴が2人と、姉貴が1人、弟1人だっけか？大家族じゃんか｣
｢…幸せならば、な｣
なんでコイツはこんなに悲しそうな顔をするんだ？あたしは、コイツの何を知っていた……？
｢……ジェルマ66って、知ってるか？｣
｢なんだっけ、お伽噺じゃないの？｣
｢実在するよ。俺はジェルマ66の三男だったんだ｣
なんでお前はカタカタ震えてんだ。お前はサンジだろ？先陣切って戦いに行って、ナミやロビンにデレデレになるサンジだろ？
｢だから何さ｣
｢幽閉されてたんだ。姉兄達は機械だったのに、俺は人間だったから
誰も助けてくれなかった。唯一の救いの母親も死んで、文字通り1人きりだった。そんな時に東の海に向かった
んで、オーナーゼフに会ったんだ。くそむかつく事もあったけど、オーナーも、仲間も、ユリア……お前も、ルフィ達も
あの日のように、俺をまた……｣
もういい。あたしはルフィじゃないからドドンと胸張って言えないし、ゾロじゃないから喧嘩ふっかけるような真似出来ないけど
｢“仲間”を信じられないか？あたし達、麦わらの一味だろ？｣
キャプテンの如く、ニカッと笑って見せればホラ、泣き顔のアイツも
｢……笑い方気持ち悪ぃぞユリア｣
｢ルフィの真似したんですー｣
｢アホらし。涙でなくなっちまった｣
良かったと心底思うのは惚れてるから
だなんて言える訳もなくて。そっと彼を抱きしめる事くらいしかあたしは出来ない
｢……っ｣
｢前にさ、あったよね。料理がオーナーに認められなくてサンジが大泣きして、あたしが肩貸したの
懐かしいなぁ……こんなに暖かいっけ？サンジの体温って｣
｢やめろ、赤ん坊じゃねーんだぞ俺｣
｢怖い夢見て泣いてるガキに言われたくありませんので｣
｢っ……！！｣
何があったかなんて、聞きたくないけど。仲間なんだから、辛さ分けてもらってもいいじゃんか
過去に何があろうと、ルフィはあんたを見捨てたりなんてしない。知ってるだろ？
だから、せめてあたしは……
｢誰にも言わないから。辛いなら吐き出しちゃえ。どんなに強がってもあたしの前では弱気でいいからさ｣
アンタのライバルで居させてね
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