【ワンピース】泡沫に消える【サンジ】 (ページ14)

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男の為に女は死ねたページ14

新世界、ホールケーキアイランドにて

シャーロット家の娘の1人、シャーロット・プリンと

ヴィンスモーク家の三男、ヴィンスモーク・サンジの結婚式が執り行われる

【女に会ってくる。必ず戻る】

そんな、アイツらしくもないメモ書きを残して

そして今、私もまたホールケーキアイランドに招かれていた

最初は皆で反対したが、私とサンジだけは理解した。ジジイが死ぬかもしれないって宣告されたから

私には、家族と呼べる人達はもう居ない。居たとしてもどこにいるかもわからないのに

アイツには、サンジには、ジジイ(父親)が居た

だから悩んだのだろう。悩みに悩んで、参加を決意して、私もそれに同意した

別に私はサンジの嫁とかではない。あくまで何か起きた時用の保険だ

ルフィがドレスローザで戦闘している間、なにかしでかしたら私を簡単に殺せるようにと

だからついて行く。過去を知ろうが知るまいが、私はユリア。バラティエで命を救われた女

そしてあの日

コックが船長に初めて手を…いや、足を出した

｢帰れ、下級海賊｣

｢……！！｣

サンジ。私には分かるぞ。お前は嘘が下手くそだから、言いたくないのに、蹴りたくないのに蹴ったんだろ？

私もさ。航海士と戦いたくないのに、傷なんて負わせたくないのに、お前と一緒に戦ってるよ

｢さようなら、【サンジ】｣

ナミがお前を呼び捨てにして平手打ちした時、私もされるかと思ったけどされなかった。ただ一言

｢……サンジ君を頼んだわよ｣

｢……お易い御用だ｣

去り際にナミはそう言って涙を流した。守りたかった女の涙は、お前には辛いだろうけど

｢サンジ！！ユリア！！こんなもんで俺が諦めると思うなよ！！

俺の事蹴るだけ蹴っても！！痛ェのは！！お前らだろ！！

お前らが居ないと！！！俺は！！海賊王に！！なれねェ！！！｣

そんな事を船長が言うもんだから私もサンジも柄にもなく泣いちゃって

記憶を失った事に気付かずのうのうと生きた私にとって

サンジの過去は刃にほかならない

……兄弟に受けた痛みを、俺が変わってやれたら良いのに

そんな、考えたことも無いような事を私は泣きながら考えていた