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そんな親友の、心の声というか心情というかそんなものを聞いた翌日に。あたしはある男に昼休み、屋上に誘われた。
清音幸希。パッと見女かと思う名前を持つこの男はバレー部所属のセッターだ。背も高く、お前にそこそこルックスがいいというまァよく見る少女漫画の設定にありそうな男。
「んで、何の用?まさか陽太の話じゃないよね?」
「んな話ここでしねーっての。つか、陽太どっから出てきたし」
ここでの陽太とは、朱羽陽太の事。想像しやすいムードメーカーで運動馬鹿。ルックスは…幸希程よくは無いが、性格が良い奴。そしてめちゃくちゃ女好き。
「ならいいんだけど、何?」
「水無月麗華の事だよ」
麗華の名前を聞いた時。あたしはある考察をした。あぁコイツもやっぱり麗華が好きなんだって。麗華本人に好きだなんて口が裂けても言えないから、親友であるあたしに矛先が向く。
「……何だ、麗華の話か。別にいいけど、何急に改まって」
「ぶっちゃけさ、麗華ってどう思うよ?お前」
ん?あれ、恋愛相談とかじゃないのかコレ。半ば頭にはてなマークを増やしながらもその問いに答える。
「良い子じゃん。なんでも出来るって言うのが少しムカつくけど、あの顔でそのスペックは有り得ちゃうかなって、もう諦めてる」
「……そっか、お前もなんだ」
「は?何、麗華に喧嘩売るつもりなの?」
「違う違う!そうじゃねぇっての!」
確かに幸希はルックスだけは麗華と並んでもお似合いだと思うけど、あたしは麗華に喧嘩売る奴は絶対許さない女なのだ。
「じゃあなんなの?」
最早怒り口調ではやし立てるあたしに彼は、はぁ、とため息をひとつこぼしてから
「俺さ、なんか麗華の目を見れないんだよ。好きとかそういうんじゃなくて、怖いんだ」
と、そう呟いた
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