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「私のせい?」
「ええ」
何故ここで氷華先輩の名前を聞くのかわからない。でも噂にならない程凡人かと言われればそうでは無かった。
大人びた口調に凛とした姿勢。オマケに学年トップの秀才。そして何より彼女の肩書きは【水無月家次期当主】だったから。
「高校1年の時の文化祭で、軽音部がバンド演奏をすることになったんだけど、そのバンドのボーカルが急に休んじゃって、代打で私が出ることになったの。
その時のバンド名は【Moon dial】。直訳すると月の時計になる。だからなのかもしれないけれど、それを見たからかなって思ってるの」
月の時計。それは麗花が在籍するガールズバンド名と酷似していて。彼女が氷華先輩に憧れて入ったのかもしれない。
「面白かったかは置いておくから早く勉強しなさい。」
「ハイハーイ」
夜食持ってくるわ、と氷華先輩は台所へ向かっていった。
(月の、時計)
単純にかっこいいとかそんなんで付けてたのかと思ったんだけど、従姉さんの影響もあったのだろうか。
「氷華さん?」
そしてフラグ回収が早すぎる。麗花戻るの早くね?
「人の価値観で話さないでくれませんか?」
「あらあら、ごめんなさいね。居ないものと思ってたからつい」
夜食を片手に氷華先輩も顔を出す。嫌い合うと言うよりはただのじゃれ合いに見える。
「……愛美」
「ん?なに?」
「少し話ししよ」
哀愁漂う大人びた目を私に向けて、彼女はそう言った。そう言われちゃ行くしかない。頷いて彼女の自室へ足を運んだ。
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