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意味が分からなかった。なんでそんな簡単な理由で殺されなければならないのだ。


「……人を殺すのがそんな理由だなんて心底驚いたわ」

「前にも言っただろう。翡翠の未来は今死ぬか後で死ぬかのどちらかだと。


だがもう翡翠は死んだ。死んだのに機械に繋がれ生きる意味を成す訳がないだろう?」


ふざけるな。医者の息子を持つ父がそんなこと言って許されるわけないだろう。


「……アンタの身分は随分と身勝手でいいわね。要らなきゃ排除して代わりを置いて、さぞかしお気楽な事でしょうね」


「甘えを言ってるつもりか?お前の選択だと言うのに」


「ふざけないで。医学に通ずるアンタが命を落させるような言い方をするのは虫唾が走る。」


冷酷な父の血を一番濃く受け継いだのは皮肉にも氷華だった。彼女が向ける眼差しは父と似ていて。


「アンタの顔は、二度と見ないわ」


それだけを告げ、部屋を去った。


成人し、会社に入ってもその悲しみが消えることは無かった。だがその悲しみを分け合って苦しんでくれる友人が出来た。


天宮藍葉、逢坂薫子、鏑木涼音……更には松野家に居る6つ子など、彼女には嬉しい程に人らしく変わっていこうとしていた。



水無月氷華の心底には母の死が根付いている。だが彼女の心は前へ向いて歩き始めていた。


弟妹の幸せな未来のために。優しい友人達の安寧秩序の為に。願わくば彼等からの平等な愛情を同じように返して生きていきたい。



水無月氷華は今、そうやって確かに生きていた。







追想







行雲流水




行雲流水(こううんりゅうすい)

空をゆく雲と川を流れる水のように、執着することなく物に応じ、事に従って行動すること。

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夢沢夏美(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます。むふふ、夢1のこと嫌いなのは継母です一応。叔母は夢1の事を嫌っていません。語彙力ないから混乱させて申し訳ない(泣) (2018年6月5日 17時) (レス) id: dbf7975cc0 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - えっ?おばさんてっ夢1のこときらいなのに、なんで「貴方は私の」とかいってるの!?わかんない?(TT)更新楽しみに待ってます! (2018年6月5日 17時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢沢夏美 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年5月17日 15時

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