043・下位蜃気楼 ページ45
「外を見て！」
私の張り詰めた声に誘われ視線が窓に向けられる。
異様な光景に誰もが驚愕した。
西日が燃えるように赤く染まり、落ちかかる日輪が歪んでくびれただるまのような形に見える。
脳裏の片隅に"異常気象"の言葉が浮かぶ。
「大気が、歪んでいる」
クラピカの声に誰しもが息を呑み、陰鬱な色あいの太陽に何故か目が離せない。
「…まただ、また音が！」と不意にゴンが窓に近づく。
ブリッチの甲板上で聞こえた音よりも更に明確に聞き取れる。
「どんどんこっちに向かって近づいてくる」
「ゴン、俺にもハッキリと聞こえるぜ」
レオリオ、クラピカ、ハンゾーは聞こえてない様子だったが、キルアには聞こえていた。
「鳥達が怖がってる」
ゴンが呟いた瞬間、1羽のカモメがパニックを起こし窓にぶつかってくる。
まるで何かに怯え逃げ惑う鳥達。
「7月4日電波障害発生」
後ろで小さく呟く声に振り返る。
クラピカへ視線を移すと、ボロい日誌を手にして読み上げていた。
「兆候が現れた事により撤退準備を始め、我が守備隊は明日早朝をもって当砲台を放棄、避難する」
「明日の日没前後、第1波襲来が予測される‥‥」
「第1波？なんの事？私にも見せて」
駆けつけ日誌をパラパラと速読して目を見張る。
それは、10年に1度の周期で起こる現象。
発達した積乱雲に伴う強い上昇気流によって竜巻を作り出し、海の上で起こったそれは渦潮をも巻き上げる。
そして第1波が去って24時間後、第2波の襲来でこの島を消してしまう程の‥‥波と竜巻が襲う。
とんでもない内容がびっしりと書かれていた。
「なんでこと‥」
甲板に出ると陽は沈み闇がたちこめている。
風が激しく吹き荒ぶり、波は怒り狂った轟音を立て今にも甲板に乗りあがってきそうな勢いだった。
「大気の歪みと水位の急激な上昇」
「10年に一度の天体現象、それが今始まったんだ」
説得の言葉を無視した試験者達が乗った船が、次々と渦潮に飲まれていく様を見ていることしか出来ない。
｢見ろ、アイツ‼︎｣
レオリオが鋭い波と風に流されるボートをあごで指す。
乗っていたのは赤いハンチング帽の男384番。
｢ゴン‼︎｣
突然キルアが叫んだ。
振り返るとゴンが釣竿を背負い躊躇なく黒い海に飛び込む。
「あのバカ！」
「キルア。ボート出しておいて」
「おい！」
よろしくね。といい残し、冷めたく乾いた空気を深く吸い込み海に飛び込んだ。
ラッキーカラー
あずきいろ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 179人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カラス - ヒソカたまらん、、更新楽しみです待ってますー (2021年9月3日 4時) (
レス) id: 2cdebcf1aa (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - めっっちゃ萌えます‥！！ヒソカの変態っぷりも良いですし出会い方やストーリーがめっちゃ好きです‥！！(*≧∀≦*)ぜひ更新よろしくお願いします！m(_ _)m (2019年8月13日 0時) (レス) id: cdff23c672 (このIDを非表示/違反報告)
ユキナ(プロフ) - フェイタン天使さん» ありがとうございます！！やる気が出て更新しました、笑 良かったら引き続き読んでください！よろしくお願いします(_ _) (2017年9月6日 3時) (レス) id: 427ac8eeed (このIDを非表示/違反報告)
フェイタン天使(プロフ) - ヒソカあああああああああああ！！！優しい少年の方も萌えたけど、今の変態ヒソカの方も十分に萌えます！！更新待ってますw (2017年9月5日 22時) (レス) id: 36a76390b2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：樹枝六花 | 作成日時：2017年8月24日 23時
