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2.妖精と世界樹-AI- ページ11

「わっ!?」

驚きと眩さのあまり目をつむり、やがて光が収まって目を開くと、そこには、赤い髪の男の子が眠ったまま、ふわりと浮かんでいた。
鮮やかな長めの赤い髪も、つるりとした頬も、全部全部、あのときの記憶を揺らして、涙が出そうになる。

こらえながら、俺はその男の子に歩み寄った。
やがて、男の子が睫を震わせて、その目を開く。

手を伸ばそうとして、しかしすぐにその手を止めてしまったのは。

今の姿が、SAOの時とはかなり違うから。
特に髪は金に近いオレンジの髪をしているし、落ち着いていた筈なのに癖っ毛気味。
これじゃあ、別人なんじゃ____

「……お父さん!」
「うわっ」

そんな考えを遮るように、その男の子はぎゅっと首に抱き付いてくる。
愛しい温もりに、声に、少しだけ涙がこぼれた。

「……アイ……!!」
「また会えたね、お父さん!」

少し力を強くして、男の子は__アイは、俺を抱き締める。
……また会えて、良かった。

「さてと……それでね、アイ」
「ん?
うん」

少しの感傷と喜びに浸ったあと、アイにステータスのことやアスナのことを話せば、アイは少し目を閉じ、しばらくして目を開くとにこりと微笑んだ。

「ここはね、«ソードアート・オンライン»サーバーのコピーなんだよ。
ほら、ぼくがこの姿でいられるのが何よりの証だよ」
「へー……な、なるほど。
じゃあ、俺のデータがあるのって」

なんとか理解できた説明を飲み込み、次を促せば、アイは笑ったまま告げた。

「セーブデータのフォーマットがほぼ同じだから上書きしたんだと思う。
GM……人間のGMが確認しない限り大丈夫。
あ、アイテムは棄てた方がいいよ」

アイの説明にとりあえず従うことにして、アイテムを棄てよう……と、思うけど、ちょっと躊躇してしまうのは、思い出のある品々ばかりの筈だから。
……うーん、仕方がない……うー……。

「とりゃっ」

ちょっと気合いを入れてデリートすると、初期装備だけのすっからかんなアイテム欄になってしまった。

……ちょっと寂しい、なんて。

女々しいと、アスナに笑われるだろうか。

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硝子屋(プロフ) - ベルモットさん» うーん、まだ決めかねています。GGO編、アリシゼーション編は一応考えているのですが……。 (2019年10月31日 19時) (レス) id: 2cd0d38961 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - ALO編ですね。個人的な意見になりますがマザーズロザリオ編は投稿される予定とかってありますか?失礼でしたらすみません。 (2019年10月31日 0時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
硝子屋梛霧(プロフ) - レミィさん» あああ、遅くなってすみません!そう言っていただけて嬉しいです、これからもよろしくお願いします! (2017年10月15日 15時) (レス) id: d7d1167bbc (このIDを非表示/違反報告)
レミィ - めっちゃ続き気になります!楽しみに待ってます!! (2017年9月24日 11時) (レス) id: 0799c0de6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梛霧 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年9月17日 8時

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