この姉弟は俺を狂わす。【ブルーロック】

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Aの姿が見えなくなった後、部活を再開しながら凪と話を続ける。






「てゆーか、凪ってシスコンなのに”お姉ちゃん”とかそういう感じで呼ばねーのな」







聞いた感じだと、凪はあの人を「A」と呼んでいる。





シスコンに関しては完全に偏見だけど。





俺兄弟とかいねぇし。






「んー…昔はそう呼んでたけどね」




「じゃあ何で名前呼びにしたんだ？」







「お姉ちゃん」とかそういう呼び方の方が可愛げあるし甘えてるって感じすんのに。





こいつに限って、「お姉ちゃん」って呼ぶのが恥ずかしくなった、とかじゃねぇだろうし。








「……Aが、中学に上がって溝っていうか、距離が出来た感じがしたから」







なるほどな。




中学生になると、定期考査があって小学生のときより勉強時間が長くなる。






小学校までは自分を甘やかしてくれた大好きな姉が、教科書とノートだらけの机に向き合っているのを見て、寂しかったんだろ。






「もしかして、そん時勉強にジェラってた？」






そう凪を揶揄うと、整った眉がキュッとなり眉間に皺が寄った。






明らかに「不快です」みたいな表情。





「……なんでわかるの」









「テストなんかなくなっちゃえって、何度も思ったよ」









重症じゃん、凪。







何でわかるか……か。







「そりゃ、自分だけのモノだと思ってたやつがぽっと出のやつに取られるってなったら」











「嫉妬どころか、殺意すら湧くだろ」










だから流石の俺でも、俺だけの”宝物”の凪姉弟が誰かに取られるとなると、矜恃とかそっちのけで焦りが出ると思う。










「……玲王は、もし”所有物”が取られたらどうするの」









「あ？何で取られる前提なんだよ」










「取られる前に”牽制”も”圧制”も抜かりなくすんだよ」









それでももし、取られたら








死ぬ気で奪い返せばいい。








「(それって、すごい”エゴイスト”じゃん)」






「……なんか、玲王とは気が合いそうだね」





と、Aと同じ黒曜石で俺を見つめる凪。





「今更かよ。俺はお前とW杯を獲る。そんで、お前を世界一だと証明する」









そう言って俺が口説いてもこの生き物(凪)は何処吹く風で飛んできた蝶を目で追いかける。








クソ、どうやって口説き落とすか。










凪(弟)も











Aも。

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