【ノラガミ】妖少女は夢を見る (ページ8)

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貴方にご縁を1 ページ8

夜の病室。こちらと彼岸の境界線が見えない深い暗闇に私と夜ト様は立っていた。

「ｼｬｱｱｱｱｱｱ！」

否、布団に潜り込んだ夜ト様がひよりさんを怯えさせている。若い女性にこんな真似が出来るなんて随分と命知らずだわ、と伴音ちゃんがぼやいていたのを思い出してしまった。

「夜ト様、この子怖がってますよ。」

やめてあげてください、とやんわり注意すれば、ひよりさんは何度も大きく頷いて私の後ろに隠れる。

「貴女は優しそうなので……。それで、その、貴女とそこの人は誰なんですか？」

緊張しながら不安げに見つめてくるひよりさんにそっと微笑む。

「この人は…「私は神です。」夜ト様！」
「警察、警察……。」
「おい！待て！待て！！」

どうか、〝優しそう〟だなんて思わないで欲しい。
夜ト様と少しでも近い距離で触れ合った、このいたいけな少女に私は嫉妬しているのだ。
なんて浅ましいのだろう。夜ト様がヤスまないように妖力で思考を自分の中だけに閉じ込めて、私は真っ黒な穢れを飲み込んだ。

好きな人に触れたいなんて、そんなのはまるで、人間みたいではないか。

思わず、病室から逃げてしまった。