【ノラガミ】妖少女は夢を見る (ページ3)

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瞳に堕ちてページ3

見られてしまった、と焦りを覚える前に目の前の男性が私を小脇に抱えた。何ともロマンの無いものだったが、とりあえずあの妖からは逃げられたので良しとする。

「なあなあ！お前、俺の神器にならねぇ？！」

良し、とするつもりだった。
私の肩を揺さぶって、ぐいぐい責め寄る綺麗な青い瞳に苦い顔をして目をそらす。こんなにきらきらした目を、今まで向けられたことがなかったので対処に困ってしまう。
……そもそも私は妖、貴方に退治されるべき存在なのに。等とは絶対に言えない。

「私は、その、駄目です……。」
「何で？」
「私、貴方を不幸にしてしまうので。」

妖である事を隠しつつ、諦めてくれるだろうと咄嗟に考えた精一杯の理由だ。これで無理ならもう振り切って逃げるしかないだろう。

「俺は、お前の瞳の色を綺麗だと思うよ。」

呆気にとられた。そんな言葉は予想すらしていなかったのだ。
目の前の彼は、少しだけ照れたように頬を染め、情けなく笑って私を見る｡
こんな筈じゃなかったのに。別に瞳の色なんて気にしていなかったのに。私はただ妖だと悟られたくなかっただけなのに。
ああ、ああ、こんな筈ではなかった。

「だから俺はお前のせいで不幸になるなんてことは絶対ない。」

気付けばもう、貴方に堕ちている。

「そこまで言うのでしたら……。」

その瞳の青さに、何処までも溺れてしまいそうだ。