【ノラガミ】妖少女は夢を見る (ページ19)

今日:18 hit、昨日:8 hit、合計:50,776 hit

雪の子ページ19

［雪音side］

俺の記念すべき(？)初仕事が終わった。
といっても俺は夜トに言われた通りにやっただけだけど。

あの日夜トの神器になってから、普通に生活をしているのは変な気分だと毎日思う。自分が普通に生きている奴等と何も変わらないような、そんな気がしてきた。
自称神の夜トはいつもうるさいから退屈はしないけど、ふと何か大切なものが足りない気持ちになる。自分には何も無いみたいな、漠然とした不安にも似てる。
それが何なのか分からなくなって時々凄くむしゃくしゃすることがあるけど、そういう時は決まって夜トが苦い顔をするか、ひよりが気付いてくれた。

ひよりと居ると何だか妙にどきどきして、不思議な気持ちになる。夜トは羨ましいのかよく俺を見ているけど、知ったことじゃない。ひよりは俺といる方が楽しいんだろ。

でも、Aだけがよく、分からないのだ。静かで、優しそうな笑い方をするのに、たまにぞっとする程に鋭い瞳をしていることがある。ひよりと居るときのようにどきどきはしないけれど、撫でられたり抱き締められると、胸の辺りが暖かくなる。

多分、母親はこういう人をさすんだろう。

Aが夜トのことを好きなのは一目瞭然だしそれが片想いなのも俺は知っている。夜トがモテるのは何だか癪だと思っていたけど、Aは初めから変わらず、俺のこともきちんと見てくれるからそれでも良かった。

だから、次もあの声で「頑張ったね。」と花丸がほしい。褒めてほしい。

(いつか憧れ焦がれた、あの愛される子供のように。)