【ノラガミ】妖少女は夢を見る (ページ16)

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赦されたいページ16

「もー、まだあいつのこと好きなの？」

ひそひそと内緒話をしている伴音ちゃんはとても綺麗になったと思う。久しぶりに会えたのが嬉しくて笑ってしまった。

「ちょっとA！どうなのよ！」
「……好きだよ。」

観念したように眉を下げた私に伴音ちゃんが、きゃーっ！と黄色い声をあげる。女の子は死んでいても恋ばなが好きなのだ。かくいう私も人の恋路は気になってしまう。

「あんな人のどこがいいのか分からないけど、貴女が幸せならそれでいいわ。」

優しく笑った伴音ちゃんは姉みたいな目をしていてくすぐったい。
恥ずかしさを隠すように、私はがばりと抱きついた。

「私も伴音ちゃんが幸せそうで良かった！」
「ちょっと！今は真喩よ！」

そうだった、と顔を見合わせて笑う。

楽しい会話の裏側で、妖切りの依頼に耳を傾けながら。

踏切へ案内すると歩きだした真喩ちゃんの後ろを歩こうとした時、後ろから天神様に呼び止められる。

「君の恋、叶うといいね。」

ああ、これは応援じゃない。
私もこの人も、この恋が叶うと思っていない。

「……減らず口を。」

私の言葉に天神様は目を細める。回りの空気が張り詰めて、寒さすら覚える程だ。しかし私は死霊ではなくて妖。きっと怖いもの知らずなのだろう。
誰にもこの想いを軽んじられたくはなかった。

どうしようともこの恋は叶わない。

どうしようともこの恋は許されない。

「食えない男だ。……人の恋路なんかより、ご自分の仕事をなさってくださいませ。」

にこりと、貼り付けたように笑う。

救われぬと知るならば、どうか何も悟れぬふりをしてくれ。