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日常43。 ページ44

「おはようございまーす」



時刻八時半。太宰出社。



「やっと来たかこの唐変木!三十分遅刻だ!!」



国木田が叫ぶ。




でもね国木田君、と彼奴はヘラっと笑う。


「凄くない?いつもの私なら平気で一時間以上は遅刻してくる。この成長した姿を見給え。」




「そもそも遅刻してくる事自体が問題なのだ!
とっとと仕事に着け!」



「はいはい、怒ってると小皺が増えるよ〜」



「貴様、誰のせいだと…!」



怒りでワナワナと震える国木田を他所に、ふらふらとした足取りで自席へ向かう。


その最中、パチリと目が合う。




「『……』」




暫く見つめ合うが、如何しても眉間に力が入ってしまう。




私はお前を許さない。





すると突如、彼奴はニコッと笑った。



「お早うA! 機嫌が悪いようだけれど?」




進行方向を自席から私の元へと変える。




清々しく爽やかな笑顔の反面には、人を小馬鹿にし面白がるような闇を備えていると私は知っている。




『お早う太宰。国木田の云う通りさっさと仕事に専念したらどうだ?』



少々引きつった笑みで皮肉ったらしく返す。




『これ以上皺の増えた国木田は見たくねェだろ?』





「これ以上とは何だ。元々俺の顔には皺の一つもないが?」



国木田が食いつく。すまんな。




「うーん」



太宰は顎に手を当て、悩むように唸る。



「正直、国木田君の皺なんかよりもっと気になることが有るのだよ。」



コツコツと私に歩み寄る。


すると、にぱっと笑い背後に立った。





スルッと髪を持ち上げる。




「髪、仕事の邪魔だろうし結ってあげようか」

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こたく(プロフ) - 有栖川.さん» ヒェェ本当だ!!!教えてくださってありがとうございます( ; ; ) (2020年3月3日 16時) (レス) id: 3d133b905d (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 日常45。と日常46。で"釦"が"牡丹"になっております。気づくのが遅くてすみません。 (2020年2月6日 19時) (レス) id: aa7e31ea9e (このIDを非表示/違反報告)
こたく(プロフ) - クロッキーさん» なんとなんと、受験生のお方ですか…!これから辛い時期が続いてしまうと思いますが、そんな時の励ましになれるような小説を目指します!!ファイトです!! (2019年6月16日 23時) (レス) id: 3d133b905d (このIDを非表示/違反報告)
クロッキー(プロフ) - 夢主ちゃんの性格好き……!今年受験生なのでこの小説を見て、頑張りたいです!更新頑張って下さい>< (2019年5月2日 23時) (レス) id: 3248997e70 (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 麦ちゃん さん» おめでとうございます! わああっ…とてもとても嬉しいです、本当にありがとうございます! これからも読んでくださっている皆様を笑顔にできるよう励みます。完結までお付き合い頂けると幸いです! (2019年5月2日 11時) (レス) id: 3d133b905d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こたく | 作成日時:2018年5月23日 20時

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