渚のエトランゼ Ⅱ (ページ5)

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彼の言葉に気の抜けた声が出る

運命だなんて…そう思ってるのは私も同じだ

『だから例え離れても、記憶がなくなっても…また絶対会えると思ってる』

「記憶がなくなるって…ねえ、記憶がなくなるの？嘘だよね…嫌だよ、深田くん…っ」

『ただの例え話、そんな深く考えないで』

ふわりと笑った彼が私の頭を優しく撫でる

その手が温かくて…ずっとこうしていたい。時間が止まれば良いのに…

なんて思ってしまうのはおかしいのかな

「そっか、ごめん…」

『んーん。そろそろ帰ろっか。皆心配しちゃうかも』

立ち上がった彼が、私に向かって手を差し出す

公園の光に照らされた彼に涙腺が緩むのをぎゅっと抑える

不思議そうに首を傾げるから、なんでもないと笑顔を繕って手を重ねた

「深田くん、」

『ん？』

「私ね、深田くんに一目惚れして良かったよ」

『…Aちゃんが一目惚れしてくれたの、8回目にして初だよ(笑)』

「え、そうなの？」

『今までいろんな出会い方してたからさ～…印象最悪な時もあった(笑)』

「嘘、そんなことがあったの？！」

ケラケラと笑い合いながら帰路を辿る

繋がれた手がお互いの存在を確かめる材料になって、安心感を覚えた

あっという間に家に着き、皆は疲れて寝てるのか家の中から光は漏れてこない

それを良いことに、私達は残された時間を惜しむかのように離れられず、入浴を早々に切り上げて私の部屋で2人きりになる