渚のエトランゼ Ⅱ (ページ29)

今日:8 hit、昨日:11 hit、合計:51,166 hit

。。ページ29

『今日からここでお世話になります！深田竜生です！』

元気よく挨拶する姿に少しだけ幼さを感じる

確かにあの頃と一緒だ

人懐っこい笑顔も恐ろしいコミュ力も変わっていない

俺は竜生のことをこっそりと観察することにした

何故俺はまた戻ったのか…それを知るために

『檜山くんってかっこいいっすね！』

檜山「そりゃどうも…？」

『あの、聞きたいんですけど…ここの女子達のことで何かあったりしませんか？』

ここに来て数日、探るような言葉に驚いた

ここから俺の記憶との違いが生まれて…この段階では、まだ誰もあの女子2人が厄介な相手だと知らない

そしてそれから3日後、夜中の皆が寝静まった頃

『…やっとここまで来た』

檜山「深田…？」

夜中に目が覚め、喉を潤したくてリビングへと向かうとそこには竜生がいて声がする

こっそりと覗き、悪いと思いながらも聞き耳をたてる

『今度こそ絶対助ける。もう二度と、死なせたりしない……』

竜生の手に握られた砂時計は見覚えがあり、俺は目を見開いた

ちゃんと願い通り届いていた。竜生は戻ってきている。それも何度も…

そして、防ぎ方もわかっている。やっぱり竜生に任せたのは間違いじゃなかったと確信した

喉の乾きなんて忘れ、自室に戻り人知れず泣いた

この涙の意味は…悲しさでも悔しさでもない、感動の涙だ