渚のエトランゼ Ⅱ (ページ22)

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月日は巡り、俺も年を取る

制服を着た学生を見ると若いな〜…と思う年齢に俺もなってしまった

もうあれから8年も経っている

檜山「よっ。ごめん、お待たせ」

『全然待ってないよ。むしろ早くない？』

檜山「俺から誘っといて待たせるのは良くないだろ？」

『…うーわ、いちいちイケメンでムカつくな』

なんでだよ！と肩を叩く力は昔から変わらずそこそこ痛い

叩かれた肩を押さえてヘラヘラとする俺に、じゃあ行こっか。と檜山くんは先を歩く

駆け寄って隣を歩く。少し見下げる位置にいる檜山くんは年を取ってもかっこよくてちょっとずるい

檜山「コーヒーで良い？」

『うん、俺はなんでも』

檜山「了解。すみませーん」

檜山くんがよく来るという古びた喫茶店は、俺なら絶対に来ないようなところで

やっぱ檜山くんは違うなー…なんて思ったり

今日は、珍しく檜山くんから連絡があった。話したいことがあるから会えない？という誘いだった

『檜山くん、話って…』

檜山「…竜生は、今もまだAちゃんが好き？」

『は…何、急に』

檜山「まだ、忘れられない？」

『………忘れられるわけないだろ。ずっと、ずっと好きなんだから』

彼女を忘れた瞬間なんて一度もない。何度も忘れようと思ったけど忘れられなかった。そんな…軽い存在じゃない

俺の言葉に檜山くんは呆れるでも怒るでも諭すでもなく、ただ柔らかく笑って…

檜山「…ありがとう。それが聞きたかっただけ」

『なんだよそれ、どういう…』

檜山「これで好きな人が出来てたらぶっ飛ばそうかと思った」

『はぁ？！なんでだよ！(笑)』

俺のツッコミにケラケラと楽しそうに笑った檜山くんによって別の話題に移る

その言葉が何を表すのか…俺は一生、知ることがない