渚のエトランゼ Ⅱ (ページ20)

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頭を冷やす為に外に出たのに、吹く風は生ぬるくてただ嫌な汗をかくだけ

冷静になんて慣れなくて、気を抜いたら暴走してしまいそう

『なんっでだよ………』

夜空に向かって吐き出した言葉を拾い上げることはない

ただ夜の静けさに飲み込まれていくだけ…

俺がどれだけ望んだって、Aちゃんは戻ってこない

やっと、やっと…気持ちが届いたのにこんなことってありかよ…

檜山「…竜生」

『檜山くん…』

檜山「隣、座っても良い？」

声がして顔を上げると、檜山くんがふわりと微笑む。

無言で隣を開けたら、ありがとう。と隣に腰を下ろした。

檜山「…Aちゃんが助けた子、軽い怪我で済んだらしいよ」

『そっ、か…良かった』

檜山「さっきの、本心じゃないって皆わかってるから」

『………ううん、あれは俺の本心だよ』

気が動転していたあの時は、本気で周りのせいにした

うっちーが迷子にならなければ、俺達が探しに行かなければ、子どもがあんなところにいなければ…たられば言ったところで戻ってくるわけじゃないのに、誰かを責めなきゃ心が持たなかった

あの瞬間は、紛れもなく俺の本心だったから最低なんだ

こんな俺を見たら…Aちゃんは俺の事嫌いになるかな

檜山「泣いていいよ、俺は見てないから」

『っ、ずるいわ檜山くん。そういうとこがモテんじゃん…』

檜山「ハハッ、それはどうも(笑)」

そんな軽口を叩く俺に笑ってくれる檜山くんに少し救われる

ボーッと遠くを見る檜山くんに隠れて、馬鹿みたいに泣いた