渚のエトランゼ Ⅱ (ページ15)

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大学の最寄り駅で降りて寒い中歩いたご褒美か、講義室は暖房が効いていてとても温かい

授業が始まるまでまだ時間があるし…と今度は湧くんとのトーク画面を開いてメッセージを返すと、すぐに既読がつく

“マジ大学の授業ついていけねえ”

“湧くんって大学生だったっけ？(笑)”

“おい、バカにしてんだろ！俺の実力なめんなよ？”

“頭悪いの知ってるからね？”

そんなやり取りをしていると、不意に隣に人影が。

気付かずスマホを触っていると、あの…と柔らかくてどこか懐かしい声が聞こえてきて思わず顔を上げる

『隣、良いですか？』

「あ、はい…すみません、どうぞ！」

『すみません。ありがとうございます』

控えめに聞いてくるその人にハッとして、隣の椅子に置いていた荷物を退けるとふんわりと微笑む

その相手を見て、ぶわっと込み上げてくる何か………なんだろう、この気持ち。初めて会ったのに初めて会った気がしない

「…あの、」

『はい？』

「もしかしてどこかで会ったことあります…？」

突拍子のない言葉にきょとん顔の彼

そりゃそうだ、私何言ってるんだろう…

だけど、心の中で跳ねる鼓動が…この人を知っていると教えるようで。