渚のエトランゼ Ⅱ (ページ1)

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思考回路が停止するってこういうことか

深田くんの言葉に頭の中が混乱する

何、未来から来たって。私が存在しない未来ってそんなこと…

「えっ、と…よくわかんないんだけど…冗談？」

『………冗談言ってるように見える？』

見えないから混乱してるんだ

あからさまに嘘だとわかるような態度でいてくれたら、ここまで混乱することもなければ胸だってざわつかない

彼の表情を見れば冗談じゃないことぐらいすぐにわかる

「そん、な…」

『ごめんね、急にこんなこと言って。俺も言わないつもりだったんだけど』

苦笑いを浮かべた彼は儚くて…隣にいるのに、どこか遠くに感じる

夏の夜、じんわりと頬を伝う汗に撫でるような風、ぎゅっと握りしめた浴衣

深田くんの非現実的な言葉とは裏腹な現実に、余計に本当なんだと突きつけられる

「本当、なんだね…」

『…うん』

「じゃあ、本当の深田くんは今何歳なの？」

『本当の俺は…あんまり言いたくないけど、27歳だよ』

「へぇ～…じゃあ私より全然お兄さんだね！だからちょっとお兄さんっぽさあったんだ」

『それはAちゃんがドジだから(笑)』

「そんなことない！」

いつものようにケラケラと笑った深田くんにまたキュンとする

未来から来てたって、年上だって、結局は彼のことが好きになったんだもん。その気持ちは変わらないよ