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「ごめ、なさい・・・・・っ何も、なにもできなくて」
「・・・・・・」
「っ、」


キリトに、ぎゅっと抱きしめられた。

体にまわる腕が、僅かに震えている。


「違うんだ。俺が・・・俺のほうこそ、なにもできなかった。ごめん・・・・・ごめん、A」


何かをかみ締めるような、噛み殺すような声は、腕同様に、震えていた。


「・・・・・・っ」


背中にしがみ付きながら、必死に首を振った。


そんなことない。


そう言いたかったが、うまく声にならなかった。

仮想世界のはずなのに、息が途切れ途切れになって、胸が苦しい。

自分の双眼から、とめどなく涙が溢れていた。


「A」


名前を呼ばれ、頬に優しく手が添えられた。

瞼を閉じると、溜まった雫が弾かれて宙を舞うのがわかる。


やがて、重なる唇。


涙のしょっぱさは、感じなかった。

代わりに、胸が締め付けられた。


消えるのは怖くない。

けれど、キリトと離れるのがどうしようもなく怖かった。


「キリト、・・・・・キリト・・・・・っ」


赤い夕焼けに紛れて、光が迫ってくる。

あの光に飲み込まれたら、キリトと本当にお別れなんだ、と思うと、胸の芯が震えた。


「A」


耳元で、名前を呼ばれた。


「俺、この世界でAに会えてよかった」
「・・・・っ」


私も、同じだよ、キリト。

キリトに会えて、よかった。


光が、迫る。



「好きだ、A」
「っ私も、好き・・・・・大好き」



再び唇を重ねた瞬間。





――――白になった






何もかもが、真っ白に染まった。




キリト



貴方と出会えて、一緒に過ごせて、幸せでした


ありがとう


いつまでも


愛して いま す

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lime - キリトかっくいいなぁ…!出来れば夢主ちゃんとリアルでの話も見たい!!(生きてたらversion)とにかく!チョー好きです!めっちゃ!最高の作品ありがとうございました(*´ω`*)またまた続編や別の作品…の予定があれば読ませていただきます!初コメ失礼しました(*^_^*) (2018年10月29日 1時) (レス) id: ec969ca73a (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 初コメント失礼します。最高の作品です。ありがとうございますm(_ _)m (2018年9月29日 18時) (レス) id: a076412724 (このIDを非表示/違反報告)
リーナ - 夢主ちゃんリアルでキリトに会うこと無いんだなってちょっと虚しくなった (2018年9月24日 0時) (レス) id: 4068102f20 (このIDを非表示/違反報告)
Tsukimi(プロフ) - 最高でした!!1日で一気に読んじゃいました。迷惑なの承知でいうのですが、これとは別に夢主ちゃん生き残った場合の設定でALO、GGOとか書いていただければ私もう思い残すことはッ…!(( 本当にすみません。素敵な作品をありがとうございました。 (2018年7月1日 17時) (レス) id: 2f51781831 (このIDを非表示/違反報告)
葵林檎 - 最高の作品をありがとうございました。P'S:ALO、GGOは書かないんですか? (2018年4月16日 1時) (レス) id: a1d4539828 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:菓豆 | 作成日時:2015年6月7日 13時

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