【HQ】烏に紛れている鷹 part9【烏野】

＊368話「背中合わせ」向日side ページ9

あたしは強豪の部活に所属。

新羅は学業と本家の期待を一心に。


おのずと2人でいれる時間は限られてた。


それでも、“幸せ”だった。


年に1回くらいのデートでも。
授業10前の雑談でも。

2人でいれることが何より“幸せ”だった。


藍はよく、欲がない！！ って騒いでたけど。

あたしたちはそれだけで充分だった。



だから、あたしが東京へいっても大丈夫だと思った。
離れても、大丈夫だと。

2人とも思っていた。




・




「……でも、だめだったんだよね」


力なく笑うも、
3人の真剣な表情は崩れず、泣きそうになる。

それをグッと耐えて、続きを話す。




・




あたしたちの付き合いは身内、
ようは信頼できる人のみに公言していた。

だから、ほとんどが知らない。

別に隠すことに思うことなんてなかったし、
新羅がいつになく真剣にいうから、それを尊重したいと思った。


考えれば簡単なことだよな……。

Aのことを聞いていたなら、わかってたことだよな。


何も先生にバレようが、クラスメイトにバレようが。
そんなことは問題じゃない。

“大和家”にバレるのが問題なんだ。



順調な交際は突然亀裂が入った。

いつ、どうしてバレたのか、それはわからない。

けど、高1の夏から新羅と連絡が取れなくなった。


初めは携帯がダメになったとかかなって思ってた。

だから、手紙を書いたりしたけど……返事はなくて。


しょうがないから人伝に会いに行こうとした。


そしたら、そこには新羅がいなくて、

代わりに大和家の人がいた。



「これだけあれば十分ですね」


差し出されたものはドラマとかでしかおきないと思っていた“大金”。


あたしってそう見られてるの？
大金差し出せば安々と引き下がる人物だと？
お金目当てで新羅と付き合ったのだと？


そう見られたのがショックだった……。

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