＊395話「正直に」東雲side ページ36
「……付き合ったらだめだと思って」
痛みで悶絶していると、
蚊が囁くような小さい声がした。
そっと顔を上げれば、
悲しそうな青を存分に含んだ瞳があった。
「だめって？」
優しく聞く力。
珍しく話してくれるらしいAが、
ぽつりぽつりと教えてくれた。
「私、本家で立場ない。
お役御免にはなってるけど、これからもそうとは限らない」
「どこまで自由で、どこまで制限されてるのか。
それがこれからも同じなのか、変わるのか」
「そういったの全部含めて考えたら、
私は……誰とも付き合わないほうがいい」
ぽつりぽつりと紡がれる言葉。
それに対して純粋な疑問しかなかった。
「Aはどうなんだよ」
「……え？」
目をぱちくりさせて、首を傾げる彼女。
「だから、Aはどう思ってるんだよ」
「え、っと、付き合わないほうが」
「そうじゃなくて、本家とか関係なく、
Aはあの先輩とどうなりたいんだよ」
さっきの話にAの気持ちはない。
あの先輩が嫌いだとか、恋愛対象てして見れないとか、
そういうのが一切見られない。
本家がどうとか、そりゃ考えなきゃいけないのはうちにもわかる。
わかるけどさ……。
「自分の気持ちにまで嘘つく必要はないんじゃないの？」
「っ……」
はっとして何も言わなくなったA。
わかるよ。本家が怖いのは。
厳しい教育という名のいじめをずっと受けてきたんだ。
わかるよ。恐れるのも。
でもさ、
お前のために新羅さんは勉強とか頑張ったんじゃないの？
お前のためにお前の父さんは親権取り戻したんじゃないの？
お前のために動いてるくれる人、きっともっといるよ。
だから、
だからさ、
「自分の気持ちに正直になったら？」
＊396話「時間がなかった」→←＊394話「星」東雲side
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星蛍(プロフ) - 凛香奈さん» こちらこそ、今までありがとうございました！！ (2021年1月3日 13時) (
レス) id: 1ee6b4a9bd (このIDを非表示/違反報告)
凛香奈 - 完結おめでとうございます！更新されるたびに楽しくみてました。本当におめでとうございます！ (2021年1月2日 20時) (レス) id: 11436a7db0 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 凛香奈さん» ありがとうございます！！ 頑張ります！！(TT) (2020年11月29日 19時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
凛香奈 - パート9待ってました！ゆっくりでいいので更新頑張ってください。 (2020年11月29日 17時) (レス) id: 11436a7db0 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - ルナ＃さん» 申し訳ありません…。最後まで頑張らせていただきます！ (2016年10月22日 20時) (レス) id: 60a59e3ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星蛍 | 作成日時：2016年8月11日 21時
