【HQ】烏に紛れている鷹 part9【烏野】

＊390話「幸か不幸か」 ページ31

無事、一次予選を突破した烏野。

とりあえず、一段落したのでみんな空気が柔らかい。


けど、そんな中、私だけ神妙な顔をしていた……。


＿＿＿「私ね、菅原が“好き”なの」


ニノさんの言葉が頭の中でループする。


＿＿＿「菅原が幸せならいっかなって思ってたんだよ。
　 だって菅原の目には“A”しか映ってないんだもの。
　 入る隙なんてないんだろうなって思っちゃったから」

そんな前から思ってくれてたんだ。

＿＿＿「でも、Aがそんなんならやめる。諦めない。
　 菅原を“大切にしない”のなら譲らない。
　 もともとそんな半端な思いじゃないの。“A”と違って」

大切にしてないのかな、私。
半端なのかな、私。


いや、ニノさんの言葉には何も間違いがない。


孝先輩の思いを受け止める勇気がなく、拒んだ。

でも、もうこの気持ちには名前がついていて
感情を抑えることができない自分がいる。

それら端から見たら弄んでる他ならない。


なんで、こんなになっちゃったんだろう。
どうしてこうなっちゃったんだろう。


過去をどんなに悔やんだって今を変えることはできない。

それはもう嫌というほど思い知ったのに、
私は“また”同じことをしている。



ちらりと“彼”を見れば、
3年生で固まって談笑していた。


ねえ、私。どうしたいの？
何がしたいの？

孝先輩は関係を変えようと踏み込んだ。

彼の思いを聞いた時点で……、
否、彼が思いを言おうとした時点でもう関係は変わった。


言ってほしくなかった、なんて酷い考えが頭によぎってゾッとする。


ああ、嫌だ。

戻りたい。怖い。


そんなの自分勝手な考えでしかない。



悶々と答えは出ないまま、
それでも現実から逃げることはできない。

できれば会いませんように、と願ったときに限って、
その人物と会ってしまうのが現実だ。


生徒会室に用があって行けば、
幸か不幸か“ニノさん”だけがいた……。

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