【HQ】烏に紛れている鷹 part9【烏野】

＊378話「嫌な子だったら」新見side ページ19

窓から新入生を2人で見ながら談笑していたとき、
菅原は“彼女”を見つけた。


「あっ」


小さく声を上げ、
注がれている視線を辿れば、深緑の髪の女の子。

可愛いと綺麗を足して2で割ったような美少女で、
儚げな雰囲気が舞い散る桜と溶け込んでいた。


「知り合い？」

「いや、違うけど」


けど、のあとに言葉は続かなかった。

でも、その子が菅原にとって“特別”なのはわかった。

目を輝かせて、
愛おしげに表情を緩めるその姿。

夢にまで見たその姿に、私は映っていなかった……。





その後、新羅の親戚というのが判明し、
彼女、“大和A”という子は私にとっても身近な存在になっていた。

誰かの悪口とか言ってたよ。
面倒くさがりで仕事をやらないよ。
我が強くて協調性がないの。

そう言える子だったら良かったのに……。


Aは、他人に淡白そうに見えて身内には情が厚い。
　部活の仲間や仲の良い子には優しく甘かった。

面倒なことも文句一つ言わず、淡々とこなす。
　その仕事内容も申し分ないくらいの完璧な出来。

マイペースな部分はあるが、人の感情に敏感で周りをよく見てる。
　さり気ない気遣いを同学年や先輩にしていた。


心のどこかで面白くないと思いながら、
一緒にいることで見えてくる彼女の内面に絆される。


鋭そうに見えて、無垢なところがあったり。

たまに見せる儚げで、脆い部分が表出したり。


それを見る度、察する度、
つい手を差し伸べてしまう。優しくしてしまう。

意地悪なんて出来なかった……。


菅原が好き。

Aは嫌いじゃない。


葛藤する日々だった。

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