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*345話「できないから」 ページ29

顔が暑いから絶対赤い......。

それを見られた瞬間、木兎さんが目を輝かせ、
黒尾さんはあの胡散臭い笑みを浮かべた。


「ほら、やっぱり! なんで隠すの?!」

「へ?! いや、隠すとか隠してないとかそんなんじゃ」

「でも、好きなんだろ?」

「ええっと......」


好奇心をむき出しにした顔が二つ。

しどろもどろになりながら、顔を横に向けて。
否、“彼女”の顔を見てすっと熱が覚めていく。


冷たい顔、冷たい眼差し。
突き刺さる言葉の数々。

ほの暗く、静まり返った部屋。

そして、疲弊しきった顔と悔しそうな涙......。


フラッシュバックした光景に、冷静になる。


「A......?」

「......好きじゃないです」

「「え?」」


勝手に盛り上がっていた二人もこちらを見る。

私は前を向いて、俯きながら
膝の上においた拳を握りしめる。


「私は“好き”になっちゃダメなんです」

「ええっと」

「どゆこと?」


困惑して聞かれるが、今まで極少数にしか話したことがない“過去”に
話すのを躊躇う。何よりも、“彼女”がいる前で話すのは憚れる。

どうしようかと体に力が入る。

そのとき、微かにバイブ音が響いた。


「あ、悪い」


そういって真赭さんが携帯を開き、
そのまま出るために席を立った。


「ちょっと話すから、Aは“ここにいて”」

「あ......はい」


優しい笑みに“気を遣われた”とわかった。

その背を見送りながら、

「やまちゃーん」と木兎さんに催促され、重い口を開いた。




“好き”になってはいけない。

“好意”をもってはいけない。


だって、私は“幸せ”にできない。

ずっと一緒にいれない。


“傷”つけてしまう。


“不幸”にしてしまう。


それならば......私は、

誰も好きにならない

*346話「継ぐ」→←*344話「周知の事実」



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星蛍(プロフ) - nasiremonさん» めちゃくちゃ嬉しいコメントをありがとうございます!! 頑張ります!! (2020年11月22日 14時) (レス) id: 1ee6b4a9bd (このIDを非表示/違反報告)
nasiremon(プロフ) - 作品を拝見させていただきありがとうございました!オリキャラたちの人間関係かハイキューキャラとすごい(語彙力)感じに絡んでいてもう、、、本当にすごいです!!!過去篇では涙目になっちゃったし、こう先輩がっっ………!!!更新頑張ってください! (2020年11月22日 2時) (レス) id: fa0cba8ed9 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 空良さん» ありがとうございます!最近サボりがちだったので面目ないです(_ _;)今月はガンガンこちらを更新しますよ! (2016年7月2日 7時) (レス) id: 60a59e3ad2 (このIDを非表示/違反報告)
空良(プロフ) - 続編おめでとうございます!いつも楽しく読ませていただいています♪更新お待ちしています(*´∀`) (2016年7月1日 23時) (レス) id: a94687914e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星蛍 | 作成日時:2016年7月1日 21時

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