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*341話「変わる関係」 ページ25

今日の自主練は夕にひき止められ、
第三体育館にはいかず、そのまま残る。

雑念を払いながら、ただ目の前に集中する。


「ぐぬっ、がああぁぁ!!」

「だから、後ろにいすぎだってば」


オーバーなんだから、もっと前といっているのだが、
癖になっているのか、ポジション取りが後ろ気味。

発狂する夕にドリンクを差し出し、
シンクロ攻撃をしていたみんなが片付けに入ってるのに気づく。


「夕、そろそろ終わろ」

「......おう」

「ぶさくれてないで、ほら起きる」


べたーっとしている夕の両手を引っ張りあげる。

起き上がったときは渋々だったが、
ノスケたちが何やら声をかけていつも通りに戻る。


単純よなあ......。


苦笑しながら、私はどうしようかと考えていると、肩を叩かれた。

まだ何かあったのかと思って振り向く。
だが、そこにいたのは夕ではなく......。


「こ、せんぱっ」

「......」


どこか緊張した面持ちの孝先輩に、
どくんと大きく心臓が脈打った。

肩におかれた手が、するりと下へ移動し、
左手をからめとられる。ボッと暑くなる顔。


「ちょっと、いい?」


何か答える前に、そのまま手をひかれる。


スタスタと体育館の裏へとつれられ、とまる。

私の心臓はドキドキとうるさい。
でも、これが嬉しいのか怖いのか判断がつかない。

今にも力が抜けそうな足。
頑張って踏ん張りながら、孝先輩の肩辺りを見る。


顔......むり、みれない。


ぎゅっと繋がれてない反対の手で胸元を押さえる。


「A......あのさ、」


緊張が繋いでる手から伝わる。

震えが止まらない......。


「その......おれっ、」

「っ!」


少しだけ大きくなった声に、体がはねた。


あぁ、ダメだ。

聞いちゃダメだ。

逃げなきゃ。


本能的に足を引いた。

だが、体は動かない。

そして......


「“好き”」


ああ、と嘆いた一方で、

トクンと確かに心臓は鳴った。

*342話「焦燥」→←*340話「蓋をしたい」



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星蛍(プロフ) - nasiremonさん» めちゃくちゃ嬉しいコメントをありがとうございます!! 頑張ります!! (2020年11月22日 14時) (レス) id: 1ee6b4a9bd (このIDを非表示/違反報告)
nasiremon(プロフ) - 作品を拝見させていただきありがとうございました!オリキャラたちの人間関係かハイキューキャラとすごい(語彙力)感じに絡んでいてもう、、、本当にすごいです!!!過去篇では涙目になっちゃったし、こう先輩がっっ………!!!更新頑張ってください! (2020年11月22日 2時) (レス) id: fa0cba8ed9 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 空良さん» ありがとうございます!最近サボりがちだったので面目ないです(_ _;)今月はガンガンこちらを更新しますよ! (2016年7月2日 7時) (レス) id: 60a59e3ad2 (このIDを非表示/違反報告)
空良(プロフ) - 続編おめでとうございます!いつも楽しく読ませていただいています♪更新お待ちしています(*´∀`) (2016年7月1日 23時) (レス) id: a94687914e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星蛍 | 作成日時:2016年7月1日 21時

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