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*335話「噂の姫君」赤葦side ページ19

気を遣ってくれたのか、話しかけてくれた大和。

ちょうど話したかったので、内心ガッツポーズする。


「どうかした?」

「あ、うん」


チラリと後ろを確認して、こっそりと聞いてくる。


「木兎さんってなんで5本の指止まりなの?
見てる感じ、牛若さんと変わらないんだけど。
なんかある感じ?」

(あー......)


わざわざ声を落として聞いてくる辺り、
彼女も薄々勘づいているのだろう。

木兎さんの面倒くささを。


「ちょっと弱点が多くてね」


主にモチベーション的なものが......。

そういうと大和は苦笑した。


試合のときも思ったが、本当によく見てる。
宮瀬さんから聞いてはいたけど、想像以上の観察力に舌を巻く。

そして、あ、と俺も彼女に聞きたいことがあったのを思い出す。


「大和」

「ん?」


ちょいちょいと手招きをすると、
なんの疑問もなく近づく大和。

下心があるわけでもないからいいんだけど、
ちょっと警戒心なくないか?

まあ、手を出すつもりはないので、
すぐ近くにある綺麗な顔にそっと近づけて囁く。


「大和は菅原さんって人と付き合ってるの?」

「......え」


一語発してフリーズする彼女。
だが、その次の瞬間ボッと発火するように赤くなった。

え、わかりやすい。
ポーカーフェイスどこいった?


「ち、違うよっ」

「え、じゃあ、片思い?」

「へ?!」


わたわたとテンパる彼女に、
なんだか楽しくなってくる。

だが、その後ろから感じた殺気に似た何かに、
視線を彼女からずらす。向日さんだろうか?

視線をたどると、歪んだ表情を浮かべる月島。
彼は俺と目が合うと、嫌そうにそらした。


......あー、そういうことか。


思わぬ発見に、クスリと笑う。

大和は月島に気づいていないらしく、
呼吸を整えながら落ち着かせていた。

どんな表情で答えるのか、と胸を踊らせていると、
返ってきた言葉は俺の予想の斜め上だった。


「......わからない」

「......え?」


頬をそめながら、眉をよせる彼女。

端から見れば、もうそうとしか思えないのに、
彼女は「わからない」と言った......。

*336話「わかりたくない感情」→←*334話「バランス」



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星蛍(プロフ) - nasiremonさん» めちゃくちゃ嬉しいコメントをありがとうございます!! 頑張ります!! (2020年11月22日 14時) (レス) id: 1ee6b4a9bd (このIDを非表示/違反報告)
nasiremon(プロフ) - 作品を拝見させていただきありがとうございました!オリキャラたちの人間関係かハイキューキャラとすごい(語彙力)感じに絡んでいてもう、、、本当にすごいです!!!過去篇では涙目になっちゃったし、こう先輩がっっ………!!!更新頑張ってください! (2020年11月22日 2時) (レス) id: fa0cba8ed9 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 空良さん» ありがとうございます!最近サボりがちだったので面目ないです(_ _;)今月はガンガンこちらを更新しますよ! (2016年7月2日 7時) (レス) id: 60a59e3ad2 (このIDを非表示/違反報告)
空良(プロフ) - 続編おめでとうございます!いつも楽しく読ませていただいています♪更新お待ちしています(*´∀`) (2016年7月1日 23時) (レス) id: a94687914e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星蛍 | 作成日時:2016年7月1日 21時

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