＊332話「信じているから」 ページ16
午後になり、私は音駒のお手伝いに駆り出されていた。
そして、ちょうど烏野と試合をしているのだが......。
「日向っ、ラスト頼んだっ。
あ、すまん！ ネットにちか」
「っ！！」
リエーフ君との押し合いの末、
ボールは軽々と烏野コートへ落ちる。
「くっそおおぉっ」
「っ翔ちゃん......」
初めて見るイライラした様子に、息をのむ。
隣にいた真赭さんも同意する。
「翔陽、イライラしてんな」
「はい。ここ数日、彼は気持ちよくうててませんから」
加えてこの暑さ。
フラストレーションが爆発してもおかしくない。
それにどこか焦ってるようにも見える。
さっきの蛍君の変化も要因してるのかもしれない。
眉間に皺を寄せて、試合を見ていると、
また飛雄君と翔ちゃんの速攻が噛み合わず、
だが、なんとか翔ちゃんがカバーして烏野の得点に。
そのとき、ん？ と些細な違和感を感じた。
あまりにも小さなものだったので、気のせいかと思ったが......。
「おいっ、今手抜いたな！！」
翔ちゃんの怒鳴り声に気のせいじゃないと気づく。
彼の言葉に、飛雄君が翔ちゃんの胸ぐらを掴む。
つい最近見た光景なだけに、ハラハラする。
「今の、落ちてくるトスじゃなかった！！」
「あっ」
やっぱり、と納得する。
ツン、と肩をつつかれ振り向くと、研磨君がいた。
「そうなの？」
「え、えっと......たぶん。
今までは手前で落ちてたトスが、さっきのは直進した気がする」
「言われてみれば......そうかもな」
「はあっ、よく気づくなあ」
制止に入るノスケを無視し、いがみあう。
だが、飛雄君は自分でも気づいたらしく、
なんだか肩を落としているように思える。
ていうか......。
「あんなに怒るか？」
「ですね」
黒尾さんの苦々しい笑みに同意すると、
パコンと頭をはたかれた。
痛みに顔をしかめながら、上を見れば、
真赭さんの呆れた顔があった。
「バカたれ。それだけ信じてることだろうが」
「え......」
「『あいつならできる』。そう信じてるから、
やめたことに対して怒ってんだよ」
「......確かに」
一度でも躊躇した。立ち止まった。
それは確かに信じてるものからすれば......。
真赭さんの言葉に、私もまだまだだと改めて思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 264人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ハイキュー」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星蛍(プロフ) - nasiremonさん» めちゃくちゃ嬉しいコメントをありがとうございます！！ 頑張ります！！ (2020年11月22日 14時) (
レス) id: 1ee6b4a9bd (このIDを非表示/違反報告)
nasiremon(プロフ) - 作品を拝見させていただきありがとうございました！オリキャラたちの人間関係かハイキューキャラとすごい(語彙力)感じに絡んでいてもう、、、本当にすごいです！！！過去篇では涙目になっちゃったし、こう先輩がっっ………！！！更新頑張ってください！ (2020年11月22日 2時) (レス) id: fa0cba8ed9 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 空良さん» ありがとうございます！最近サボりがちだったので面目ないです(_ _;)今月はガンガンこちらを更新しますよ！ (2016年7月2日 7時) (レス) id: 60a59e3ad2 (このIDを非表示/違反報告)
空良(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつも楽しく読ませていただいています♪更新お待ちしています(*´∀`) (2016年7月1日 23時) (レス) id: a94687914e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星蛍 | 作成日時：2016年7月1日 21時
