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*328話「隣にたてなくても側に」 ページ12

中学の頃、何度も思った。


辛い

苦しい

辞めたい


言葉にしたことはなかったけど、何度も思った。

それはきつい練習中に。
はたまたプレッシャーがのしかかる試合中に。
ずっと悪口を囁かれる日常でも思った。

自分の罪が重くて、重くて、苦しくて。

バレーを続ければ続けるほど
どんどん首がしまっていくように感じた。

それは早乙女がきたときも同じで。

圧倒的な才能。
突出した技術。

可笑しいな。
身近な結良と同じなのに、ポジションが被っただけで焦った。

恐怖した。

怖くて、苦しくて、
辛くて、怖くて、
怖くて、辞めたくて、
怖くて、怖くて、

そんな感情をずっと抱えていた。


でも、放り出そうとは思わなかった。

それを言葉にしたことはなかった。


雪先輩との約束は、確かにあった。
でも、あの人には申し訳ないけど、

それだけじゃ、ずっと続けてなんかこれなかった。


じゃあ、何がそんなに頑張れたのか。
じゃあ、なんで逃げることをしなかったのか。



___「A、今のトスめっちゃ打ちやすかった!!」


___「A、モップがけ勝負だっ!」


___「Aー、トスあげて!」



雛鳥でもあるまいし。

一日に何回呼べば気が済むんだと誰かが突っ込むくらい呼ぶ声。

弾んだ声。
弾けた笑み。

人を呼ぶときは満面な笑みの癖に、

スパイクやサーブを打ってるとき、
一人でいるとき、

そんなときは周りの声も目も何も見えていない横顔。

いつだって前しか進んでないのに、
いつだって焦っている“あいつ”。


側にいたいと思った。

隣には......たぶんいけない。
けど、ほんの後ろからでいいから寄り添いたいと思った。

うつむいたときに少しだけ視界に入る位置に。

決して、私との道が重なることはないけども、
並走できたらいいと思った。

すでにできた“結良”の道を
横にならぶように後ろを追う。

だから......辞めなかった。

*329話「幼馴染しか響かない言葉」→←*327話「裏付ける過去」



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星蛍(プロフ) - nasiremonさん» めちゃくちゃ嬉しいコメントをありがとうございます!! 頑張ります!! (2020年11月22日 14時) (レス) id: 1ee6b4a9bd (このIDを非表示/違反報告)
nasiremon(プロフ) - 作品を拝見させていただきありがとうございました!オリキャラたちの人間関係かハイキューキャラとすごい(語彙力)感じに絡んでいてもう、、、本当にすごいです!!!過去篇では涙目になっちゃったし、こう先輩がっっ………!!!更新頑張ってください! (2020年11月22日 2時) (レス) id: fa0cba8ed9 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 空良さん» ありがとうございます!最近サボりがちだったので面目ないです(_ _;)今月はガンガンこちらを更新しますよ! (2016年7月2日 7時) (レス) id: 60a59e3ad2 (このIDを非表示/違反報告)
空良(プロフ) - 続編おめでとうございます!いつも楽しく読ませていただいています♪更新お待ちしています(*´∀`) (2016年7月1日 23時) (レス) id: a94687914e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星蛍 | 作成日時:2016年7月1日 21時

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